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漢方薬情報(さ行)

『柴胡加竜骨牡蠣湯』(さいこかりゅうこつぼれいとう)

経皮経管的冠動脈形成術(PTCA)(これは冠動脈狭窄部にカテーテルで風船を入れて狭窄を広げる治療法である)その後の再狭窄は現代心臓医学が抱える難問である。ラットを用いて漢方薬による再狭窄防止効果を検討したところ柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤に強い再狭窄予防効果、すなわち動脈硬化予防作用が認められた。


精神症状(不安、不眠)、のぼせの症状がきつい更年期障害で、いくつもの病院で治療に難渋した症例に柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を持続投与し、8週間から6ヶ月で奏効を認めた。


短気で怒りっぽい、イライラして落ち着きがない。こういう症状は向精神薬でもコントロールは難しい。イライラを主訴とする神経症患者15例に対し柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を持続投与したところ著効2例有効6例であった。

したがって有効率は53.3%であり、これは向精神薬や精神療法の臨床成績と比較しても遜色ない。


症例1:35歳女性。2ヶ月前からパニック発作が頻発して報告者の精神科に来院。

抗鬱剤と抗不安薬を投与、暫時増量して3ヵ月後に寛解した。

その後家庭内トラブルを機に症状が再発。薬剤を増量したところ、副作用である眠気、倦怠感が強く見られたため薬剤量を減らし、柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を追加投与したところ、約2週間で症状が改善した。

症例2:30歳男性。3年前からパニック障害を発症、前医では抗不安薬と柴朴湯エキス剤の投与を受けていたが、パニック障害が悪化したので報告者の精神科に来院。柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を投与したところ約4週間で症状が改善、抗不安薬の減量も可能になった。

『柴胡桂枝湯』(さいこけいしとう)

60歳女性。上腹部痛を主訴として受診、出血性急性膵炎の診断で緊急入院となり、補液、制酸剤、抗生剤などによる治療を行ったが、その際柴胡桂枝湯エキス剤を併用したところ症状の改善が漢方薬非併用例に比べてきわめて速やかであった。


カタツムリの神経細胞に化学物質を加え過剰興奮を起こしたものに柴胡桂枝湯(煎剤)を添加し、過剰興奮を抑制した。てんかんモデルマウスの発達障害のある大脳皮質神経細胞に柴胡桂枝湯(煎剤)を添加すると、ほぼ正常な発達を示すようになった。以上のことは柴胡桂枝湯が痙攣を抑制するだけではなく、先天的な痙攣(てんかん)素質をも改善できることを示唆する。


50歳女性。主訴:上腹部痛、背部痛。受診時血清アミラーゼ値、尿中アミラーゼ値ともに上昇を認め、膵炎の診断で入院加療し症状は寛解したしかし退院後年数回同様の疼痛発作を繰り返し、外来で治療を受けることが10年以上続いた。そこで柴胡桂枝湯エキス剤の投与を開始したところ、2週目には症状軽快、4週間目には腹痛はほぼ消失した。その後疼痛発作は出現していない。


40歳女性。主訴:心窩部痛、背部痛。数年前から年2、3回、前述の疼痛を自覚していた。ある日、疼痛が続くので報告者受診、腹部超音波腹部CТ検査、アミラーゼ値上昇で慢性膵炎と診断。西洋薬を投与したが3週間たっても症状の改善を見ないので柴胡桂枝湯エキス剤を追加投与したところ、2週間で症状は著明に改善した。投与は現在も継続中であるが副作用も全く認められない。


慢性膵炎は炎症化に続く腺維化が特徴的である。慢性膵炎に有効な薬剤は少なく、膵腺維化の治療薬は報告されていない。慢性膵炎を自然発症するラットを対象として柴胡桂枝湯エキス剤を投与して検討を加えた結果、本方剤は膵臓における炎症のみならず、腺維化をも抑制することが示された。


実験的ラットに肝臓癌を発症させ、柴胡桂枝湯エキス剤を投与して影響を見た。

その結果、柴胡桂枝湯が肝癌を発生段階から抑制するとともに、発生した肝癌の増殖をも抑制することが示された。


小腸の移植症例の増加に伴い、移植後起こる腸管の虚血再濫流障害が注目される。

虚血再濫流は血中エンドトキシン値を上昇させ、肝微小循環障害

およびそれによる肝細胞障害を引き起こす。人工的に腸に虚血再濫流を起させたラットを対象に柴胡桂枝湯エキス剤を投与して検討を加えた結果、柴胡桂枝湯は血中エンドトキシン値上昇を抑制し、肝細胞障害を抑制することが示唆された。


慢性C型肝炎においてインターフェロン療法はHCV(慢性肝炎の過半数の原因ウィルス)を駆除できる唯一の治療であるが、なおその有効率は30%程度であり、残りの70%には肝炎の増悪を抑制する何らかの治療が必要である。

インターフェロンの効果が不自由分な症例や何らかの理由でインターフェロンを使用できない症例25例に対し柴胡桂枝湯エキス剤を投与して8週間後に検討を加えたところ、柴胡桂枝湯は肝障害を抑制し、慢性ウイルス性肝炎の治療に有効であることが示された。


ラットの自然発生慢性膵炎モデルを用いて、柴胡桂枝湯エキス剤を4週間から24週間投与した結果、

(1)膵炎による血清アミラーゼ値の上昇が抑制された。

(2)組織学的にも柴胡桂枝湯投与群では膵の炎症像は認められなかった。

慢性膵炎に対する柴胡桂枝湯の作用は、各構成生薬の抗炎症作用、胃酸分泌抑制作用、血管拡張作用、微小循環改善作用などが複合され発現すると考えられている。


ラットを用いた実験によると柴胡桂枝湯エキス剤を投与することによって、肝細胞の再生が促進され、胆汁分泌も促進され、さらには抗肝炎作用が認められた。


ラットを用いた実験によれば、柴胡桂枝湯エキス剤を投与することによってエンドトキシン(グラム陰性桿菌に由来する細菌、毒)による、肝障害の進行が予防され、またエタノール(アルコール)による肝微小循環障害の進展が抑制される。


15歳男子。主訴は起床時の腹痛と食欲不振、柴胡桂枝湯エキス剤で治癒した。


扁桃炎を起こしやすく年に何回も発症する児に柴胡清肝湯エキス剤を投与してその効果を検討した報告が2つある。報告1:12例の児に3ヶ月投与したところ、12例中10例が有効(有効率83%)であって、しかもこの10例では本方剤投与開始以来、扁桃炎の発症が起きていない。報告2:患児12例に対して1年間継続投与したところ、10例で発症頻度が減少(月に約1回が年に3回ぐらい)した。

『柴胡清肝湯』(さいこせいかんとう)

アトピー性皮膚炎の患児に柴胡清肝湯エキス剤を投与して効果を検討した報告が2つある。報告1:25例を対象とし、「やや改善」以上が68%であった。報告2:35例を対象とし「やや有効」以上が91.4%であったという。


扁桃炎を起こしやすく年に何回も発症する児に柴胡清肝湯エキス剤を投与してその効果を検討した報告が2つある。報告1:12例の児に3ヶ月投与したところ、12例中10例が有効(有効率83%)であって、しかもこの10例では本方剤投与開始以来、扁桃炎の発症が起きていない。報告2:患児12例に対して1年間継続投与したところ、10例で発症頻度が減少(月に約1回が年に3回ぐらい)した。

『柴朴湯』(さいぼくとう)

透析関節症は8~10年以上の透析歴を持つ患者に高頻度に認められる合併症である。8年以上の血液透析歴を持つ慢性腎不全患者で透析関節症と診断された患者27例に1ヶ月柴朴湯エキス剤を投与したところ、(患者の自己評価による)有効率は60.9%であった。


抑うつ的傾向のある患者で、咽喉頭部の異常感を訴えるものに柴朴湯エキス剤を投与した結果65%に有効であった。副作用は認められなかった。効果発現の2週間以上を要し、遅効的ではあったが65%の有効率は抗うつのそれに匹敵するものであった。


全身性エリテマトーデス(発熱、顔面の紅班、関節痛)に、パニック症候群(激しい不安発作、ふるえ、身動き出来ず)を合併した症例に柴朴湯エキス剤を投与し、両者に奏効を認めた。柴朴湯は不安に効果を示すが、免疫調整機能をも持つことが近年判明している。


気管支喘息患者の気道におけるアレルギー性の炎症が進行する過程で好酸球の存在が積極的に関与する。サイトカインにより延長した好酸球の生存期間は柴朴湯エキス剤を加えることで有意に短縮した。これは柴朴湯が好酸球に直接作用することによってアレルギー反応(炎症)を抑制する可能性を示唆する。


症例1:66歳女性。15年来咳が直らない。咳が始まると嘔気がし、嘔吐してやむ。好きな食べ物のときは咳が出ても嘔吐はしない。一般の咳止めはまったく効かない。柴朴湯エキス剤を投与すると2週間で咳が軽快しだし2ヵ月後には咳は出なくなった。

症例2:34歳女性。夫の転勤で現住地に引越してから始まった咳は夕方になると毎日出始め、咳止めも効かずこの咳は5年間続いた。柴朴湯エキス剤を投与すると咳は次第に軽快し6ヶ月後には咳はほとんど出なくなった。

2症例とも仮面鬱症状が咳の真因であったために柴朴湯が著効した、と報告者は推測している。

『柴苓湯』(さいれいとう)

11歳男児。感冒が治りきらないうちに運動をして汗をかいて寝てしまった夜から腹痛と呼吸困難が始まった。翌日来院時には起坐呼吸を呈し、体温37.6度、胸水の貯留が見られた。柴苓湯エキス剤の投与を開始し、5日目には臥位で就寝できるようになり、胸水も次第に減って8日目に退院となった。柴苓湯はその後1ヶ月間服用させた。


原発性胆汁性肝硬変は原因がいまだ不明の難治性疾患である。慢性腎炎のため腎不全になり透析を行っていた65才の男性が原発性胆汁性肝硬変を発症した。ウルソデオキシコール酸投与で経過を見るうちに著明な腹水貯留と食欲不振が出現し、次第に増悪した。そこで柴苓湯エキス剤を投与したところ、5ヵ月後から腹水が減りはじめ、10ヵ月後には腹水も殆どなくなり食欲不振も消失した状態で柴苓湯服用を続けている。


陰嚢内硬化性脂肪肉芽腫は比較的まれな疾患であるが、手術で切除されることが多い。

陰茎根部に5センチほどの硬い腫瘤があり不快感を訴えることもある。今回2例の本症患者に柴苓湯エキス剤を持続投与したところ4~5週間で腫瘤が消失し、再発の兆候も認められていない。柴苓湯は基礎的検討において抗炎症作用、線維芽細胞増殖抑制作用のあることが認められている。


43歳の男性。残尿感を主訴とし泌尿器科を受診。慢性前立腺炎の診断で約6週間治療を受けたが症状の改善を認めなかった。7週間目から柴苓湯エキス剤の投与を開始したところ投与開始から12週間で症状の消失を認めた。


症例1:62歳、女性。右手背をアシナガバチに刺され高度の発赤と軽度の疼痛、灼熱感を訴えて来院。柴苓湯エキス剤を投与したところ発赤腫張は急速に消退し4日目には自、他覚的に症状が消失した。

症例2:92歳、男性。農作業中に左手背をスズメバチに刺された。高度の発赤、腫張と軽度の疼痛を訴えて来院。柴苓湯エキス剤を投与したところすべての症状が4日目までに、完全に消失した。柴苓湯には抗炎症作用と利水作用があり、蜂刺症による発赤、腫張の治療に非常に適していると思われる。


習慣性流産のうち、胎児の免疫的拒絶反応に原因するものは不育症と呼ばれる。

不育症の一部に柴苓湯エキス剤の投与が極めて有効である症例である。


IgA腎症は最も多い腎疾患であり、放置すれば腎不全に至る。

重症例に対しては副腎皮質ホルモン剤免疫抑制剤を中心とする療法の有効性が確立しつつある。

しかしこれらの副作用を考慮するならば、その使用は最小限にとめるべきであろう。

その意味でも本症の軽症型、および重症型で治療により症状が軽快したものに対し漢方薬の使用が検討されている。その結果柴苓湯エキス剤が本症の進展または再発を明らかに抑制する効果が現れ、臨床の場で用いられつつある。

『紫雲膏』(しうんこう)

痴呆老人病棟入院中の女性、84歳、終日臥床となり褥瘡を形成した。洗浄、消毒、軟膏処置を行ったがまったく改善がなかった。6ヵ月後から紫雲膏を使用開始した。洗浄とイソジン消毒の後紫雲膏を塗布、軟膏は中止した。

褥瘡は開始後18日には縮小を認め、7ヵ月後には治癒にいたった。

『四逆散』(しぎゃくさん)

60歳女性。5年前から右眼瞼痙攣が疲れたときに出るようになった。

抑うつ状態で手足のひえが著明である。四逆散エキス剤を投与してしばらく続けると眼瞼痙攣も手足の冷えも解消した。


内視鏡的に活動期の胃潰瘍と診断された22例を対象に四逆散エキス剤を8週間投与したところ、有効以上は17例(77%)であった。

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