Menu

呼吸器、循環器その他の症状

Home

呼吸器、循環器その他の症状

難治性心不全に対する木防己湯の有用性

慢性心不全は、心筋障害のため心臓のホンプ機能が低下し、充分の酸素を臓器に供給出来ず、又 肺にうっ血をきたし、息切れ、浮腫などの症状が出る。治療として旧来よりのジギタリス、利尿薬に加えて近年はアンジオテニシンⅡ受容体遮断薬などが用いられる。しかしこれらの薬物療法によっても心不全が改善せず、人工心臓や心移植を必要とする症例も多い。
報告者は49歳と71歳の男性、58歳の女性の3例を提示している。いずれも5年から10年の慢性心不全の罹患歴があり、前述のごとき薬物療法を続けていたにもかかわらず呼吸困難などの症状悪化により入院となったものであった。
入院時はいずれも肺うっ血戸心拡大が認められた。3症例とも木防己湯エキス剤の投与を行ったところ、心不全状態が徐々に改善し、入院後2~3週間で退院可能な状態まで回復した。

当帰湯の症例

当帰湯は胸部の疼痛に用いるが、痛み方が胸部から背中に突き通り放散するようであることと、冷え性、血色が悪いなどは使用の目標になる。

症例1:55歳男性。8年前から左胸痛があり、1ヶ月前から痛みがひどくなってきた。当帰湯(煎剤)を投与したら1ヶ月で胸痛は全く消えた。

症例2:60歳男性。狭心症で専門医の治療を受けているが左胸痛発作が起きるのが続く。当帰湯(煎剤)を9ヶ月服用した結果狭心症の発作が全く起きなくなった。

症例3:60歳女性。数年来寒い時期に冷えると背中から胃の裏にかけて痛む。足がいつも冷たいという。当帰湯エキス剤を投与したところ2日後「一服で身体の芯からぽっぽと温まり非常に具合が良い」と喜ばれ3週間後「痛みが消えた。薬を飲むと温まる」ということで2ヵ月後にはすっかりよくなったが4ヵ月後の現在も服薬継続中である。

 

ヒト網膜中心動脈血流に対する八味地黄丸の効果

八味地黄丸エキス剤とプラセボ(偽薬)をそれぞれ12人の健常者に投与し投与前後の網膜中心動脈の血流量を測定した結果、八味地黄丸投与群ではプラセボ投与群に比べ明らかに血流量が増加した。白内障など多くの目の疾患ではその進行に比例して網膜中心動脈血流が著しく減少するので、眼疾患に対する八味地黄丸の効果を説明する根拠となると思われる。

気管支喘息に対する神秘湯の効果

本方は呼吸困難を主とし、比較的痰の少ない気管支喘息に用いる、とされる。

症例1:17歳男性。幼時から毎日のように喘息に苦しめられている。最近は1日2回、1回は必ず夜間に起こり、呼吸困難で横臥できず、少量の痰を出した後収まるという。神秘湯(煎剤)を投与したところ、20日でずいぶんと軽快し、2ヶ月でほぼ発作が起きなくなった。

症例2:6歳男児。生後まもなくから喘息になり一日中呼吸が苦しい、夜間の方が酷いという。初診時やせ衰えて顔色土気色であった。神秘湯(煎剤)を投与した。20日で発作が消失した。翌年久しぶりで発作があり来院したが、顔色もよく別人のように丈夫になっていた。神秘湯を40日間服用してもらった。その次の年には一度も発作は無かった。

インフルエンザに対する抗ウィルス薬と麻黄湯の併用効果

抗ウイルス薬でウイルス量を減らし、麻黄湯で患者の生体防御反応増強するのが理にかなった治療法であると考えて以下の臨床実験を行った。
対象:突然の発熱と上気道炎で発症し、インフルエンザ抗原が陽性となった者
方法:全例に抗ウイルス薬(リン酸オセルタミビル)を5日間投与した後、麻黄湯群には麻黄湯エキス剤を3日間投与した。対照群には抗ヒスタミン剤、去痰剤を3日間投与した。
結果:1)麻黄湯群のほうが約12時間速く解熱する傾向が認められた。
2)疲労感、食欲不振は麻黄湯群の法が早く改善した。以上から抗ウイルス薬に麻黄湯を併用することは治療のために望ましいと考える。

MRSA感染性気管支炎に漢方薬の奏効例

高齢者で低肺機能の慢性気管支炎患者がMRSA(メチリン耐性黄色ブドウ糖球菌)感染を起こすと致命的な転帰を取ることがある。塩酸バンコマイシンなどの有効抗生剤も反復使用することで全身状態の低下を引き起こしかねないので治療には苦慮せざるを得ない。

症例:87歳男性。10年前より特別老人ホームに入居中であり寝たきり状態であった。食事摂取時のむせ込みが徐々に頻回となり肺炎を繰り返すようになり、2年前から慢性気管支炎の状態となり、喀痰の排出が多く低肺機能となったため、報告者の病院に転院となった。入院後呼吸器症状、発熱に対し各種抗生剤を投与し症状は一進一退を繰り返していたが10ヶ月目にMRSAを検出、塩酸バンコマイシンを投与したが症状ははかばかしくなかった。入院1年目に麻黄附子細辛湯エキス剤投与を開始したところ、1週間後体温36度台となり、肺機能もやや改善した。3週間後MRSAの消失を認めた。喀痰の排出量は相変わらず多いので、清肺湯エキス剤の投与に変更した。その2週間後には喀痰排出量も減少し経過も順調である。