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治療案内/漢方ニュース
漢方ニュース 第28号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『川芎茶調散』せんきゅうちゃちょうさん
 
35歳男性。十代からしばしば頭痛があり、最近より頻繁になってきた。
拍動性の頭痛である。川芎茶調散エキス剤を投与したところその日のうちに頭痛が軽くなった。半年後の現在も服用継続中である。

『八味地黄丸』はちみじおうがん
 
45歳男性。数年来、糖尿病の治療を受けているが最近陰萎を自覚、来院した。八味地黄丸エキス剤を投与したところ、2週間後すでに効果を認め引き続き投与を継続している。

『清上防風湯』せいじょうぼうふうさん
 
27歳女性。16歳のころから痤瘡が出現していた。報告者の皮膚科を受診した時は、頬部を中心に紅色丘疹、膿ほうが多数認められ、膿ほう性痤瘡と診断した。清上防風湯エキス剤を投与したところ、1週間後には痤瘡の新生が無くなり、約2か月後の現在も痤瘡の発生を見ていない。

『桂枝茯苓丸』けいしぶくりょうがん
 
58歳女性。主訴:顔面潮紅。54歳の時子宮腺筋症の診断で子宮両側卵巣摘出57歳顔面潮紅を訴え報告者の大学病院受診。桂枝茯苓丸エキス剤の投与を開始したところ、6週間後には顔面潮紅の症状は軽快した。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
64歳女性。近歯科医で上顎の総義歯を新たに作成装着したところ、突如として右側頬部に電撃様疼痛が発現し、さらに右眼窩周囲および側頭部に放散する激痛となった。直ちに報告者の歯科口腔外科を受診した。受診時、激痛のため開閉口運動が出来ず、会話および咀嚼、開眼が困難であった。
特発性顔面神経痛と診断し、カルバマゼピン内服投与し眼窩下神経ブロックを実施したが、神経ブロックの効果は持続せず、またカルバマゼピンの副作用である全身倦怠、起立障害が生じた。
そこで釣藤散エキス剤を投与したところ朝夕の電撃様疼痛発作が劇的に消失し開閉口運動や会話などが次々と可能になって、7日目には疼痛が消失して義歯の装着が可能となった。現在も釣藤散の内服は続けている。 

『加味逍遥散』かみしょうようさん
 
外傷性頚部症候群は時に治療が難しく多彩な不定愁訴に悩まされる。

症例:40歳女性。交通事故(正面衝突)以来頚部重苦感が強く、種々の薬剤を投与するが効果殆ど見られず、日々変動する不定愁訴が出現した。頚椎MRIでは異常を認めないが症状は悪化し、物理療法、エチゾラムなどの薬剤も効果がなかった。事故後1年経ったころから加味逍遥散エキス剤を投与したところ、約4週で自覚症状の改善が見られ、交通事故についても円満に打ち切りとなった。 

『抑肝散加陣皮半夏』よっかんさんかちんぴはんげ
 
81歳、男性。3回の脳梗塞後、長期療養のため報告者の病院に入院。
鬱症状による食事拒否があるため向精神薬を投与したが徐脈、めまいが出現したため中止。抑肝散加陳皮半夏エキス剤を投与したところ数週間後から鬱症状が軽快しだし、食事拒否も減り、感情失禁も改善された。

『川芎茶調散』せんきゅうちゃちょうさん
 
48歳女性。数年前から疲れたり、冷えたりすると頭痛がするようになった肩こりもひどい。鎮痛薬を飲むと胃が悪くなるという。川芎茶調散エキス剤を投与したところ、2週間後には頭痛が全く起きなくなった肩こりも軽快した。その後半年後の現在も服用継続中である。

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漢方ニュース 第27号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
慢性C型肝炎においてインターフェロン療法はHCV(慢性肝炎の過半数
の原因ウィルス)を駆除できる唯一の治療であるが、なおその有効率は
30%程度であり、残りの70%には肝炎の増悪を抑制する何らかの治療が
必要である。インターフェロンの効果が不自由分な症例や何らかの理由で
インターフェロンを使用できない症例25例に対し柴胡桂枝湯エキス剤を
投与して8週間後に検討を加えたところ、柴胡桂枝湯は肝障害を抑制し、
慢性ウイルス性肝炎の治療に有効であることが示された。

『防己黄耆湯』ぼういおうぎとう
 
ネフローゼを発症するような薬剤を投与したネフローゼラットに防己黄耆湯
エキス剤を投与したところ、尿蛋白排泄量が著明に抑制された。小児ネフ
ローゼの頻回再発型はステロイド剤や免疫抑制剤の使用頻度が多く、
これらの薬剤の副作用が深刻な問題である。その対策のひとつとして
防己黄耆湯エキス剤の併用使用の有用性が示唆された。

『十全大補湯、竜胆瀉肝湯』じゅうぜんだいほとう、りゅうたんしゃかんとう
 
十全大補湯エキス剤および竜胆瀉肝湯エキス剤をそれぞれ直接病原菌に
加えても両者共全く抗菌効果を示さない。しかしラット子宮膿瘍モデルに
両エキス剤をそれぞれ単独に投与すると、両者共に明らかに生菌数が減少
する。この効果は感染により引き起こされた炎症を抑制するか、免疫能を
賦活させることで生じたと思われる。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
若い女性で、無月経、摂食障害がある場合、大建中湯は非常に有用である。
大建中湯エキス剤を投与すると腸の働きが良好になって腹部膨満、便秘を
解消し、食欲が起こり、その結果新陳代謝が改善されて、無月経の改善、
摂食障害の軽快、治療が導かれる。

血液中の甲状腺ホルモンは2種類あり、甲状腺からサイロキシン(T4)が
分泌され、肝臓などで代謝されトリヨードサイロニン(T3)になる。
無月経で拒食症では全例T4は正常でT3だけが低値である。大建中湯を
投与すると症状が良くなるとともに低値だったT3が改善してゆく。

『呉茱萸湯、当帰芍薬散』ごしゅゆとう、とうきしゃくやくさん
 
29歳女性。主訴は片頭痛。歯を磨く時むかつき、時々嘔吐する。冷え性である。
胃を抑えると水がたまっている音がし、臍の脇を抑えると圧痛がある。
呉茱萸湯、当帰芍薬散両エキス剤を投与すると頭痛も冷えもむかつきも軽快した。

『排膿散及湯』はいのうさんきゅうとう
 
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏などに難治性の膿疱を生じる疾患で女性に多い。

症例は70才の女性で来院の4年前から掌蹠膿疱症の治療を皮膚科専門医
から受けていたが、治療効果が思わしくなく報告者の病院を受診した。
この症状に対して十味敗毒湯、荊芥連翹湯、温清飲を投与したがいずれも
経度の効果を見るだけで効果が少なく、やがて1年経過してしまった。
そこで排膿散及湯エキス剤投与に切り替えたところ、見る間に症状が軽快
して驚かされた。その後4年後の現在に至るまで排膿散及湯の内服は続行しているが膿疱の再発は無い。

『加味逍遥散』かみしょうようさん
 
63歳男性。20年前から毎日、額に発汗する。同時に背中に寒気も感じると
いう。加味逍遥散エキス剤を投与したところ、発汗は完全に消失した。
2ヵ月後の現在も服薬は続けている。

『竜胆瀉肝湯』りゅうたんしゃかんとう
 
27歳女性。以前から下腿に湿疹が出来ていたが2ヶ月間のダイエット
(8キロ減)の後、急に悪化、化膿性の皮疹が発生、消褪後は色素沈着を
残すのを繰り返していた。竜胆瀉肝湯エキス剤を投与したところ、約1ヵ月
後には化膿性皮疹が出現しなくなった。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
パーキンソン病では便秘がしばしば見られ、緩下剤を投与しても効果の
見られない例も多く、時にイレウスを起こす。慢性的便秘があり、しかも
腸管の拡張による腹部膨満を認めたパーキンソン病患者に大建中湯
エキス剤を投与した。

症例1:81歳、男性。2週間後腹部膨満が著明に軽快した。便秘については
明らかな効果は認められなかった。

症例2:73歳、女性。2週間以内に腹部膨満が軽快するとともに、自然排便
が見られるようになった。

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漢方ニュース 第26号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『六君子湯、香蘇散』りっくんしとう、こうそさん
 
症例1:34歳男性。通年性アレルギー性鼻炎で受診。生活は極めて不規則で軟便傾向。イライラしやすい。

症例2:32歳男性。通年性アレルギー性鼻炎で受診。生活極めて不規則で軟便傾向、疲労感が強い。

両症例とも六君子湯、香蘇散両エキス剤の合方を投与したところ約1ヶ月で症状が消失、以後再発は見られなかった。


『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
52歳男性。慢性腎炎で近医通院中。週3回透析を行っている。2年半前から透析日の食後に強くなる胸痛があり、報告者の大学病院内科を受診。
びまん性食道痙攣の診断のもとにCa拮抗薬、抗鬱薬などを投与したが改善が得られなかった。そこで芍薬甘草湯エキス剤を投与したところ、数回の投与で胸痛が消失した。

『柴苓湯』さいれいとう
 
原発性胆汁性肝硬変は原因がいまだ不明の難治性疾患である。慢性腎炎の
ため腎不全になり透析を行っていた65才の男性が原発性胆汁性肝硬変を
発症した。ウルソデオキシコール酸投与で経過を見るうちに著明な腹水貯留
と食欲不振が出現し、次第に増悪した。そこで柴苓湯エキス剤を投与した
ところ、5ヵ月後から腹水が減りはじめ、10ヵ月後には腹水も殆どなくなり
食欲不振も消失した状態で柴苓湯服用を続けている。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
抗鬱剤の副作用のうち嘔吐や便秘に比べ寝汗は従来あまり重要視されない
傾向があった。しかし服薬の快適性も大切なことである。寝汗といえども
放置することは、寝汗を我慢するという苦痛を与え新たな神経症化を生むか
抗鬱剤投与量を減らさざるを得ず治療を長引かせるかどちらかの結果に
なろう。抗鬱剤投与中に寝汗を訴えた9例に補中益気湯エキス剤を投与した
ところ寝汗について有効が6例、やや有効が2例と有用な結果であった。
つまり補中益気湯を併用することで鬱の治療が患者にとってより快適に
行われうることが示された。

『抑肝散加陣皮半夏』よっかんさんかちんぴはんげ
 
高齢者のうつ状態、痴呆状態に対する治療に際し、報告者の大学病院の入院患者のうちで、向精神薬が効きにくい症例に抑肝散加陣皮半夏エキス剤を投与し有効であった症例を呈示する。

症例1:74歳男性。主訴;夜間不穏、多弁。2年前脳梗塞発症後、施設に入所したが、大声で叫び続けコミュニケーション困難のため当院入院。抗不安薬など使用するが効果がなかった。抑肝散加陣皮半夏エキス剤(以下漢方エキス剤)を投与したところ、3週ごろより大声を出すことが無くなり、意思疎通も良好になったので、6週後投薬続行のまま介護施設入所となった。

症例2:70歳男性。主訴;暴力行為。40年前より精神分裂病。3〜4回精神病院入院歴がある。その後特養入所中何回も暴力行為があったため当院入院となる。抗不安薬など試みるが改善見られず、漢方エキス剤を投与したところ、3週後より暴力行為、暴言、不穏行動が消失したため、8週後特養再入所となった。その後も服薬続行中で問題行動なしとのこと。

症例3:60歳女性。主訴;拒食、拒薬。重度の知的障害を合併する。家族の希望で当院入院。拒食、拒薬のほかあらゆる治療行為を拒否し、暴言続く。
家族と相談の上、胃ろう造設、胃ろうより漢方エキス剤を投与。2週後より暴言減少。8週後症状安定し転院。経口投与で服薬続行中とのこと。

症例4:72歳女性。不穏および痴呆症状あり当院入院。頭部CТで著明な脳萎縮あり。漢方エキス剤投与3週で症状軽快し転院となった。

症例5:70歳男性。外傷性くも膜下出血、脳挫傷で他院に入院加療中、痴呆症状出現し当院入院となる。暴言、妄想、不穏が続く。向精神剤を投与するが改善が見られず、漢方エキス剤を投与したところ3〜4週後より不穏行動消失し、8週後に介護施設入所となった。

症例6:66才男性。脳梗塞で他院入院中、易怒で暴力行為を繰り返す。
当院入院し、漢方エキス剤を投与したところ、4週後は易怒、暴力行為がなくなり8週後転院となった。


『加味逍遥散』かみしょうようさん
 
72歳女性。結腸癌手術後の抗癌剤の副作用で両手掌に灼熱感、瘙痒、疼痛
を伴う紅斑が発症した。加味逍遥散エキス剤を投与したところ、2週間後から
症状軽快し、4週間後には症状の消失を見た。

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漢方ニュース 第25号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
実験的ラットに肝臓癌を発症させ、柴胡桂枝湯エキス剤を投与して影響を
見た。その結果、柴胡桂枝湯が肝癌を発生段階から抑制するとともに、
発生した肝癌の増殖をも抑制することが示された。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
慢性膵炎は炎症化に続く腺維化が特徴的である。慢性膵炎に有効な薬剤は
少なく、膵腺維化の治療薬は報告されていない。慢性膵炎を自然発症する
ラットを対象として柴胡桂枝湯エキス剤を投与して検討を加えた結果、
本方剤は膵臓における炎症のみならず、腺維化をも抑制することが示された。
 

『補中益気湯、十全大補湯』ほちゅうえっきとう、じゅうぜんだいほとう
 
病原体(細菌、真菌、ウイルスなど)から身体を守る生体防御機構のひとつ
である細胞性免疫について、両補剤ともマクロファージを増強する、
インターフェロン産生を増加させるなど免疫力を賦活することが解明されて
いる。最近全く別の防御機構としてТLR系のレセプターが存在することが
わかってきた。最近の研究では、両補剤とも、ТLR系の防御機構をも増強することが確認された。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
本方剤の免疫調整能を見るためには、免疫能を落としたとき、免疫能が
正常な場合、それぞれ本方剤がどう作用するかを見ることが必要である。
動物実験でマイトマイシンC投与によりNK細胞、Т細胞マクロファージが
減少して免疫能が落ちた状態にしてヘルペスウィルスを感染させると10日
で約90%が死亡するが、補中益気湯エキス剤を投与すると50%の死亡に
とどまる。一方、正常な免疫能の状態(何も手を加えない状態)でインフル
エンザウィルスを感染させると2週間以内に約60%の動物が死亡するが、
補中益気湯を投与しておくと死亡は20%にとどまる。これは補中益気湯が
IFN(インターフェロン)分泌量を増やすためであることが判った。(詳細省略)

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
報告者の大学病院呼吸器内科ではCОPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者に対し
補中益気湯エキス剤を長期的に用いる。その結果栄養状態が良好になり、
風邪を引きにくくなってCОPDの予後がきわめて良好になる。

『桂枝茯苓丸』けいしぶくりょうがん
 
ウサギを用いた実験で、桂枝茯苓丸エキス剤を投与すると網膜中心動脈の
血流量の増加が認められた。すなわち本方剤が網膜症を含めた糖尿病
合併症の進行予防に有用である可能性が示唆された。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
小腸の移植症例の増加に伴い、移植後起こる腸管の虚血再濫流障害が注目
される。 虚血再濫流は血中エンドトキシン値を上昇させ、肝微小循環障害
およびそれによる肝細胞障害を引き起こす。人工的に腸に虚血再濫流を
起させたラットを対象に柴胡桂枝湯エキス剤を投与して検討を加えた結果、
柴胡桂枝湯は血中エンドトキシン値上昇を抑制し、肝細胞障害を抑制することが示唆された。

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漢方ニュース 第24号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
48例の耳鳴り患者に釣藤散エキス剤を4週間投与し,耳鳴り研究会作成の
検査法にもとずき効果を判定した。その結果、著明改善が23例であった
女性よりも男性で、若年者よりも高年齢者で、両側耳鳴りよりも片側耳鳴りでそれぞれ改善率が高かった。

『桂枝加芍薬湯』けいしかしゃくやくとう
 
30歳女性。全身性エリテマトーデスに伴う腸炎、膀胱炎できわめて難治性
であったが、桂枝加芍薬湯エキス剤の投与で両方とも軽快した。

『当帰芍薬湯』とうくしゃくやくさん
 
25歳女性。20歳で正常分娩後、連続3回胎盤早期剥離で死産した。今回妊娠
18週で血性帯下で来院、切迫流産の診断で当帰芍薬散エキス剤を投与、
妊娠10ヶ月まで続けさせたところ、妊娠38週で男児を正常分娩した。

『麦門冬湯』ばくもんどうとう
 
口腔の悪性腫瘍に放射線治療を行うと、唾液腺が照射されて分泌低下が
おこり、患者は口腔乾燥症に悩まされることが多い報告者の大学病院口腔
外科では舌癌、下顎骨癌などで放射線治療、手術を受けた患者に麦門冬湯
エキス剤の投与を行い、唾液分泌量の増加、口内乾燥の改善を認めた。

『当帰飲子』とうきいんし
 
73歳男性。最近全身の皮膚の乾燥とともに耐え難い掻痒感が出現した。
老人性掻痒症と診断し、当帰飲子エキス剤を投与したところ1ヶ月ぐらい
から皮膚の乾燥が改善され3ヵ月後には掻痒感も消失した。

『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう
 
49歳女性。主訴は右下肢の痺れ、痛み、秋冬季の手足の冷え、夏季の全身
倦怠と食欲不振。当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス剤を投与した。2週間後
から右下肢の痺れ、痛みが軽減しだした。1ヵ月後には身体が温まって、
風邪を引かなくなった、と述べた。冬には右下肢の痺れ痛みも無く、翌年の
夏には倦怠感も食欲不振も無く喜んだ。2年間服用後投与終了したがその後
も冷えも夏ばても無く快適に過ごしている。

『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう
 
49歳女性。10年前から両手指が白くなっているということで受診。原発性
レイノー病の診断で当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス剤を投与したところ、
2週間後には症状が軽快し、2ヵ月後の現在再発を見ていない。

『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
脳血管障害(脳出血、脳梗塞)後遺症の患者で、片麻痺以外に疼痛、痺れ感
を訴える4例に芍薬甘草湯エキス剤を投与したところ、疼痛の中等度以上の
改善率が75%、痺れ感の中等度異常の改善率が100%と有効性が高かった。

『防己黄耆湯、防風通聖散』ぼういおうぎとう、ぼうふうつうしょうさん
 
42歳女性。主訴は両膝関節痛。身長156cm。体重93kgと著明な
肥満を呈する。防己黄耆湯、防風通聖散両エキス剤を併用投与したところ
12週間後の現在体重が9kg減の84kgとなり、両膝の疼痛が軽減した。

『茵蔯五苓散』いんちんごれいさん
 
アルコール性肝炎は禁酒により容易に改善するが、肝硬変にまで進行すると
禁酒しても病変の進行は続き予後不良となる。

症例は44歳男性。主訴は全身倦怠感。若いころより大酒家。3年前に
報告者の市立病院にアルコール性肝硬変、食道静脈瘤の破裂で入院、
その後も入退院を繰り返している。退院後はすぐに飲酒を始める。次第に
症状が悪化し、腹水、黄疸、肝機能障害も著明になりついに肝性昏睡も
きたして入院となった。入院後特殊アミノ酸製剤、肝庇護剤など投与した
が全身状態さらに悪化、肝不全での死亡も近いものと予想されたが、
考えられる治療はすべて行いつくしたので茵蔯五苓散エキス剤の投与を
開始することにした。すると報告者も驚いたことだが黄疸が急速に改善、
2週間後には腹水消失、1ヶ月目に退院となった。患者はその後外来
通院で経過観察となったが、1年半後食道静脈瘤破裂で来院、同日出血のため死去された。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
31歳女性。過敏性腸症候群(以下IBS:irritablefowel syndrome)の診断で、近医で3年間各種投薬を受け効果なく、報告者の病院を受診した。主訴は腹痛である。各種画像検査で異常を認めず、腹痛型IBSと診断した。前医で投与されていなかった大建中湯エキス剤、および軽いうつ状態が見られたため、抗鬱薬であるパロキセチンを併用して投与した。その結果1ヵ月後には腹痛は消失、鬱状態も改善し、副作用も一切見られなかった。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
パーキンソン病では腹部膨満が高頻度に見られ、イレウスに至ることもある
7例の腹部膨満を訴えたパーキンソン病患者に、大建中湯エキス剤を2週間
投与したところ著効3例、有効1例であった。

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漢方ニュース 第23号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
悪性黒色腫を自然発生するよう遺伝子操作を行ったマウスに十全大補湯
エキス剤を体重あたりに換算してヒトへの臨床投与量を終生摂取させ検討
した結果、対象群に比べると腫瘍の増殖が長期に強く抑制された。また対象
群では平均10ヶ月で腫瘍死したのに対し実験群では平均16ヶ月で死亡と
60%の延命が見られた。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
モルヒネ利用患者の65%に重篤な便秘が見られるという。マウスを使った
実験では、モルヒネを投与すると小腸、大腸ともに輸送能は大幅に低下した
が大建中湯エキス剤を追加投与すると輸送能低下が著明に回復した。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
慢性便秘症の小児に大建中湯エキス剤を投与すると1週間目ぐらいから便秘
が改善されてくるケースが多い。また大建中湯エキス剤を3ヶ月から1年
ぐらい続けると、投与を中止した後でも良好な便通状態が維持できる例が
多くこれは従来の緩下剤ではなかったことである。

『六君子湯』りっくんしとう
 
小児の食道閉鎖症の手術後、1年以上たっても食欲不振で体重や身長の
伸びがもうひとつという例に六君子湯エキス剤を投与すると2週間以上に
なると食欲の増進、食事量のアップ、が見られ、さらに数ヶ月経過すると身長、体重の数値が改善されてくる。

『小柴胡湯、茵蔯蒿湯、柴苓湯』しょうさいことう、いんちんこうとう、さいれいとう
 
胆道閉鎖症の術後、早期から小柴胡湯エキス剤を投与すると肝機能が早く
改善される。早期から茵蔯蒿湯エキス剤を投与すると黄疸が早く取れる。
一方長期生存例で学童期以降に黄疸が再燃する例、肝機能の増悪を繰り
返す例では、柴苓湯エキス剤、もしくは柴苓湯合茵蔯蒿湯エキス剤を
投与すると黄疸の軽快、肝機能の改善を見る例が多い。

『五苓散』ごれいさん
 
ラットを用いた実験では、ステロイド投与による体重減少、リンパ球減少
胸腺、副腎、脾臓の重量減少、大量投与による死亡などステロイド投与に
よる副作用の殆どすべてが五苓散エキス剤の併用投与で抑制された。

『茵蔯蒿湯』いんちんこうとう
 
29歳、女性。血液検査で肝機能異常が認められ、報告者の大学病院で
精査の結果、脂肪肝が発見された。西洋薬(ウルソデオキシコール酸、
ベザフィブラート)による治療を開始したが、16ヶ月間の投薬にも
かかわらず肝機能は全く改善されなかった。そこで茵蔯蒿湯エキス剤を
併用投与したところ、肝機能は急速に改善されて、茵蔯蒿湯投与22ヶ月
後には肝機能はほぼ正常化した。

『柴苓湯』さいれいとう
 
症例1:62歳、女性。右手背をアシナガバチに刺され高度の発赤と軽度の疼痛、灼熱感を訴えて来院。柴苓湯エキス剤を投与したところ発赤腫張は急速に消退し4日目には自、他覚的に症状が消失した。

症例2:92歳、男性。農作業中に左手背をスズメバチに刺された。高度の発赤、腫張と軽度の疼痛を訴えて来院。柴苓湯エキス剤を投与したところ、すべての症状が4日目までに、完全に消失した。柴苓湯には抗炎症作用と利水作用があり、蜂刺症による発赤、腫張の治療に非常に適していると思われる。

『加味帰脾湯』かみきひとう
 
報告者の心療内科を受診した鬱病、パニック障害、その他の74例に対し
向精神薬の離脱、減量を目的にして、加味帰脾湯エキス剤を投与した結果
従来の治療薬に併用して向精神薬を離脱しえた症例は22例(29.7%)
減量しえた症例は34例(46.0%)と75.7%の症例に目的を果たしえた。

『六君子湯』りっくんしとう
 
報告者の消化器内科を受診したNUD(Non−ulcer dyspepsia)のうち
他剤では十分の効果が見られない44例に六君子湯エキス剤を投与し、
病型別に効果を検討した。その結果運動不全型(NUDで最も多い型)では
極めて有効(有効率73.3%)であったが、潰瘍類似形と胃食道逆流型
ではそれぞれ40%、22.2%と有効率は低かった。
またNUD以外に効果が認められた症状としては、冷えやほてり、肩こり、抑鬱、めまいなどがあった。

『芍薬甘草湯、当帰芍薬散』しゃくやくかんぞうとう、とうきしゃくやくさん
 
報告者の大学病院を受診した重症月経困難症患者12例に対し、以下の如く
漢方治療を行った。予定月経の7日前から芍薬甘草湯エキス剤を月経終了
するまで内服した。この療法を12例の患者に2ヶ月から14ヶ月間行った
結果、全員で3ヶ月以内に月経困難症が消失するという著効を見た。
またこの療法で排卵抑制は無いことが確認されたので挙児希望者の
月経困難症には最適の治療法のひとつといえよう。

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漢方ニュース 第22号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『釣藤散,黄連解毒湯』ちょうとうさん、おうれんげどくとう
 
70歳男性。診断:重度の痴呆。妻はすでに他界し40歳の独身の一人息子
が世話をしている。10年以上前より物忘れが目立った。最近は直前の
出来事も忘れている。1日に20回以上も転倒する。長谷川式では0点で
ある。息子には予後の厳しいことを告げ、釣藤散エキス剤と黄連解毒湯
エキス剤を投与した。2週間後、転倒することが日に3〜4回と激減し息子の
声賭けにも反応するようになり、介護が大変楽になったと息子に感謝された。

『清心蓮子飲』せいしんれんしいん
 
単純性膀胱炎は抗生物質投与で7〜10日位で軽快するが再発性膀胱炎に
対し有効な治療法はまだ確立されていない。

症例1:37歳女性。数年前より年に数回急性膀胱炎を繰り返し、近医で
抗生物質をもらって軽快していた。某日、急性膀胱炎で報告者の泌尿器科を
受診、抗生物質投与で尿路感染は消失したが、頻尿,下腹部痛、は軽快
しなかった。そこで清心蓮子飲エキス剤を投与したところ2週間ほどで
頻尿、下腹部痛は消失した。その後3年間本方剤の服用を続けているが
1度も急性膀胱炎の再発を起こしていない。

症例2:34歳女性。急性膀胱炎を発症し抗生物質を服用して治癒した。
その3ヵ月後急性膀胱炎を再発、抗生物質を服用しても頻尿が軽快しない
ため清心蓮子飲エキス剤を投与、2週間で頻尿が消失した。その後1年間
本方剤の服用を続けているが、急性膀胱炎の再発は認めていない。


『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
44才男性。海外旅行で座席に一定姿勢を長時間強制され、時差による
影響も受け目的地に到着直後から著明な全身倦怠感と全身筋肉痛を発症
した。鎮痛剤や滋養強壮剤は全く無効であった。報告者に漢方療法を依頼
して芍薬甘草湯エキス剤3回分を1回に内服させたところ内服3分以内と
いう超即効的に全身筋肉痛、次いで全身倦怠感が消失した。

『五積散』ごしゃくさん
 
66才女性。肩こりを訴えたので五積散エキス剤を投与したところ2週間で
肩こりが消失した。以後肩こりがひどい時には同方剤を内服し、楽になる、
という状態が続いている。肩こりには葛根湯の有効な例が多いが、この症例
はおそらく葛根湯の無効例だったのであろう。五積散は上半身にのぼせ、
下半身に冷えがあるものの腰痛、頭痛、胃痛などに用いられるが、本患者
には冷えが元来あり、そのため五積散が肩こりに効いたのであろう。


『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
40歳女性。主訴:心窩部痛、背部痛。数年前から年2,3回、前述の
疼痛を自覚していた。ある日、疼痛が続くので報告者受診、腹部超音波
腹部CТ検査、アミラーゼ値上昇で慢性膵炎と診断。西洋薬を投与したが
3週間たっても症状の改善を見ないので柴胡桂枝湯エキス剤を追加投与
したところ、2週間で症状は著明に改善した。投与は現在も継続中であるが
副作用も全く認められない。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
50歳女性。主訴:上腹部痛、背部痛。受診時血清アミラーゼ値、尿中
アミラーゼ値ともに上昇を認め、膵炎の診断で入院加療し症状は寛解した
しかし退院後年数回同様の疼痛発作を繰り返し、外来で治療を受けることが
10年以上続いた。そこで柴胡桂枝湯エキス剤の投与を開始したところ、
2週目には症状軽快、4週間目には腹痛はほぼ消失した。その後疼痛
発作は出現していない。

『六君子湯』りっくんしとう
 
消化器不定愁訴を訴えた25例に六君子湯エキス剤を投与したところ、
4週間で18例に著効を見た。その1例を示す。48歳女性。嘔気を伴った
胃もたれ、食欲不振などあり。近医で西洋薬を投与されたが改善しなかった
ため報告者を受診。胃内視鏡で潰瘍や癌は認めず慢性萎縮性胃炎と診断
した。六君子湯エキス剤を投与したところ2週目には諸症状の改善が見られ
4週目には諸症状は完全に消失した。希望により服薬継続中である。

『麦門冬湯』ばくもんどうとう
 
症例1:68歳男性。肺扁平上皮癌で肺癌手術後経過良好で退院。その後
空咳が続きリン酸ゴテイン投与するも無効で、麦門冬湯エキス剤を投与した
ところ。数日で咳嗽が軽快し、2週間で治癒した。

症例2:61歳男性。肺扁平上皮癌で肺癌手術後経過良好で退院。術後
2ヶ月過ぎより夜間の空咳が出現した。麦門冬湯エキス剤を投与したところ、
2週間で咳嗽の消失を見た。

『苓甘姜味辛夏仁湯』りょうかんきょうみしんげにんとう
 
43歳女性。感冒後に咳嗽と喀痰が1ヶ月以上続いている。最近胸痛と呼吸
困難を訴えるようになって来院した。顔色は蒼白、貧血状でややむくんで
いる。動悸も激しく、薄い痰がたくさん出る。非常に冷え性である
苓甘姜味辛夏仁湯(本症例は煎剤)を投与し1週間で症状の軽快があり、3箇月で完治した。

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漢方ニュース 第21号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
麻酔下のウサギに大建中湯エキス剤を投与したところ腸管運動を増強させた
が、子宮筋には影響を及ぼさなかった。これは女性の癒着性イレウスの治療
に大建中湯を安全に使用できることを示す。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
カタツムリの神経細胞に化学物質を加え過剰興奮を起こしたものに柴胡
桂枝湯(煎剤)を添加し、過剰興奮を抑制した。てんかんモデルマウスの
発達障害のある大脳皮質神経細胞に柴胡桂枝湯(煎剤)を添加すると、
ほぼ正常な発達を示すようになった。以上のことは柴胡桂枝湯が痙攣を
抑制するだけではなく、先天的な痙攣(てんかん)素質をも改善できることを示唆する。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
卵巣摘出して血清エストラジオールとプロゲステロン値が減少し脛骨の
骨密度が低下したラットに補中益気湯エキス剤を投与したところ、血清
エストラジオールとプロゲステロン値がわずかに増加し、骨密度も上昇した。

『当帰芍薬散』とうきしゃくやくさん
 
アルツハイマー病では嗅覚が障害され、嗅球の神経活性が低下する。
痴呆の動物モデルとして嗅球の神経活性低下が抑制された

『五苓散』ごれいさん
 
外来血液透析を施行中の患者25例に五苓散エキス剤を8週間投与した
ところ、透析患者の頭痛、嘔気に対し五苓散が大変有効な処方であることが認められた。

『五苓散、薏苡仁湯』ごれいさん、よくいにんとう
 
伝染性軟属腫に対し五苓散エキス剤と薏苡仁湯エキス剤を用いた報告がある
1)患児45例に投与した報告では、著効66.7%であった。
2)患児32例に投与した報告では著効62.1%であった。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
報告者の心臓血管外科では、リンパ浮腫に対し合併圧迫療法(弾性包帯に
よる圧迫、自動的、他動的マッサージ、スキンケア)を行っているが、
上肢および下肢リンパ浮腫80例に対し、合併圧迫療法と併用して牛車
腎気丸エキス剤を1ヶ月投与して検討を加えた結果、漢方薬投与群が
非投与群より明らかに治療効果が高かった。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
筋緊張性頭痛はストレスが主因のいわば「文明病」といわれている。
筋弛緩薬、鎮痛薬、抗不安薬、抗鬱薬など多種類の併用が普通である。
今回報告者の脳神経外科で筋緊張性頭痛と診断された患者139例を対象に
釣藤散エキス剤を14日分投与して検討を加えた。他の薬剤は一切用い
なかった。その結果、頭痛133例中99例、めまい65例中41例、肩こり
130例中72例、睡眠障害111例中66例の改善が得られ、おおむね良好で
あった年齢で比べると65歳以上の高齢者のほうが65歳未満より著効率が
高かった男女別で比べると女性のほうがより高い効果が見られ、特に65歳
以上に限ってみると男女の差はより顕著であった。

『人参養栄湯、茵蔯蒿湯』にんじんようえいとう、いんちんこうとう
 
胆道閉鎖症は肝門部腸吻合術によりその治療成績はきわめて向上したが、
術後再黄疸(上行性胆道炎によるものが多い)や肺シャント(肝と肺の
動静脈間の異常交通による)を来すような例では、肝移植を施行しなければ
短期間のうちに死の転帰をとる例が多い。
症例は12歳女児。生後50日に胆道閉鎖症のため肝門部腸吻合術を受けた。
術後黄疸は消退した。11歳ごろより唇の紫色化(チアノーゼ)が見られる
ようになった。これは肺シャント形成を示す。またビリルビン値を始め
肝機能の悪化も認められた。患児の両親は肝移植を拒否し、漢方治療を
求めたので、人参養栄湯、茵蔯蒿湯両エキス剤を中心に漢方治療を行った。
人参養栄湯は脳の機能低下、呼吸器系の機能低下および循環不足などを
改善する働きがあり、肺シャントに適している薬剤と思われる。茵蔯蒿湯は
黄疸の抑制、肝硬変や肝腺維化の抑制、肝機能の改善などの働きがある
。両方剤による治療を開始してから、次第にチアノーゼも消失、息切れや
疲れも殆ど無くなり、肝機能もほぼ安定していった。毎日の通学も可能に
なった。8年後の現在患者は20歳になり、就職はしていないが家事や料理
など生活を楽しんでおり報告者の医師も予想以上の延命効果に驚き、且つ喜んでいる。

『大建中湯』だいけんちゅうとう

脳卒中後の合併症の一つに麻痺性イレウスがある。抗イレウス剤が無効で
きわめて難治性のものも珍しくない。症例は74歳女性。左片麻痺で発症した
脳梗塞の患者。入院5日目より麻痺性イレウスになり、ジノプロストなどの
抗イレウス剤の投与を行ったが全く無効であるため、抗イレウス剤を中止。
大建中湯エキス剤を倍量で投与したところ、3日目に排ガスがあり、8日目
にイレウス治癒と判定された。

『柴胡加竜骨牡蠣湯』さいこかりゅうこつぼれいとう
 
経皮経管的冠動脈形成術(PТCA)-―これは冠動脈狭窄部にカテーテルで
風船を入れて狭窄を広げる治療法であるがー後の再狭窄は現代心臓医学が
抱える難問である。ラットを用いて漢方薬による再狭窄防止効果を検討した
ところ柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤に強い再狭窄予防効果、すなわち動脈硬化予防作用が認められた。



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漢方ニュース 第20号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『人参湯、二陳湯』にんじんとう、にちんとう
 
6歳男児。元来胃腸虚弱で偏食。この数ヶ月嘔気、嘔吐を繰り返す。まず
人参湯エキス剤を投与、食欲がやや改善。そこでニ陳湯エキス剤を合方した
すると数日で吐き気がすっかり取れ、食欲も増してきた。以後1年間服薬
を継続し、極めて健康な状態になった。

『二陳湯』にちんとう
 
34歳女性。妊娠4ヶ月。つわりが強く、この2ヶ月間殆ど食事が摂れず
やせ衰えた。二陣湯(この症例は煎剤)を少量ずつ冷服させたところ
少しずつ嘔気が納まり、3日で治癒した。

『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう
 
75歳女性。右頬部の赤い皮疹を主訴に皮膚科受診。ステロイド軟膏、抗生
物質軟膏など種々の外用剤、内服剤を投与されたが皮疹は悪化し直径2pの
潰瘍を形成し直らなかった。5年後胃癌で外科に入院、胃切除術を受けた。
退院後手足、下肢の強い冷えを訴え、外科で十全大補湯その他を投与したが
殆ど無効、そこで当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス剤を投与したところ、手足、
下肢の冷えが早い段階で軽快したのみか、医師も全く予想していなかった
ことに皮膚潰瘍部の完全な治癒が認められた。

『真武湯』しんぶとう
 
24歳男性。1年前から右耳鳴りが出現している。真武湯エキス剤を投与した
ところ、1ヶ月後にはかなり軽快した。修治ブシ末を追加したところ耳鳴り
は殆ど消失した。報告者の分析では患者の証を水毒の上昇、しかも陰証と
とらえ、真武湯を処方した。

『桂枝茯苓丸、大柴胡湯、温清飲』けいしぶくりょうがん、だいさいことう、うんせいいん
 
41歳女性。某婦人科でダナゾールなどのホルモン療法を継続したが1年
たっても効果なく、肥満、微熱、倦怠感などステロイドの副作用が著明に
なってきてから手術を強く勧められ、手術を断固拒否、漢方治療を希望し
報告者の病院を受診した。受診時筋腫の大きさは小児頭大であった。
桂枝茯苓丸エキス剤、大柴胡湯エキス剤、温清飲エキス剤の併用投与を
開始した。筋腫の縮小傾向は3ヶ月ごろから現れ、5年後の現在筋腫は小児手拳大まで縮小し安定している。

『桂枝加朮附湯』けいしかじゅつぶとう
 
50歳男性。透析歴は約20年。夜間に痺れを伴なう上肢痛があり、よく
眠れない。消炎鎮痛剤や湿布は効かない。桂枝加朮附湯エキス剤を投与
したところ疼痛は次第に軽くなって、3日目には良く眠れるようになった希望により内服は続けている。

『八味地黄丸』はちみじおうがん
 
75歳男性。主訴は四肢の冷えと腰痛で受診。八味地黄丸エキス剤を投与
主訴は数ヶ月で次第に軽快。11ヶ月目に患者が言うには2年前から
どうしても直らなかった咳と痰がこの薬を服用してから少なくなり、最近
では全く無くなって大変うれしい。
これは報告者の医師にとっても全く予想外のことであった。
これを漢方的に説明すれば、この咳は腎陽虚のために生じた「腎咳」である。
だから八味地黄丸が奏効したのであろうと報告者は述べている。

『麦門冬湯』ばくもんどうとう
 
57歳女性。脳腫瘍(軟骨肉腫)部分摘出術を行って退院後、約6ヶ月ごろ
より乾性咳嗽が出現し次第に強くなるとともに、嗄声、軽度の嚥下障害も
伴うようになった。各種去痰剤、鎮咳剤を投与したがほとんど効果はない。
そこで麦門冬湯エキス剤の投与を開始したところ1ヵ月後には咳嗽は著明に
消退し、その後6ヶ月ほど投与を続けた。同方剤が中枢性脳神経麻痺に
よる難治性咳嗽にも有効な症例があることが判明した。

『補中益気湯、十全大補湯』ほちゅうえっきとう、じゅうぜんだいほとう
 
36例の無症候性МRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)尿症患者に
補中益気湯、または十全大補湯エキス剤を投与したところ、投与10週
ぐらいから、コントロール群に較べ有意に、МRSA菌量が減少した。

『五苓散』ごれいさん
 
急性胃腸炎患児211例(6ヶ月〜11歳)に対し、五苓散エキス剤2.5gを温
生理食塩水20mlに溶解し、カテーテルを用いて注腸を行ったところ、嘔吐への
有効率は82.9%であった。副作用は認めなかった。

『真武湯』しんぶとう
 
全身衰弱が強く、まったく食事摂取不能となり、余命いくばくもないと判断
された老人16例に真武湯エキス剤を投与したところ9例は平均6ヶ月以上の
延命効果を見た。真武湯を服用した老人の死亡状況は、いずれも夜間で
苦しまず、自然死的に息を引き取っていた。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
脳卒中後の合併症の一つに麻痺性イレウスがある。抗イレウス剤が無効で
きわめて難治性のものも珍しくない。
症例は72歳、男性。左片麻痺で発症した右視床出血の患者。入院時より
麻痺性イレウスあり。パンテチンなどの抗イレウス剤を投与したが次第に
イレウスが悪化、抗イレウス剤を中止して大建中湯エキス剤を通常の
2倍量で投与したところ、2日目に排ガスが見られ、5日目にはイレウス治癒と判定した。

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漢方ニュース 第19号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
高齢者の前立腺炎肥大に伴う夜間頻尿(一部は夜間尿失禁にまで進行する)
は同時に排尿困難も伴いやすいのでその薬物治療は難しいとされる。
報告者の泌尿器科を受診した前立腺肥大症患者(67歳〜89歳)で夜間頻尿を
訴えた25例(そのうち7例に尿失禁が見られた)に牛車腎気丸エキス剤を
投与して検討した。その結果、夜間頻尿は25例中18例(72%)に有効。
夜間尿失禁は7例全例で失禁が消失した。一方、排尿困難の出現または
悪化は1例も見られなかった。

『五積散』ごしゃくさん
 
66歳女性。主訴:背中と胸の痛み。寒さがこたえ、寒いと痛みが誘発
される。足と腹がとても冷える。この症状が25年間軽快しなかった。
五積散(この症例は煎剤)を投与したところ約1ヶ月で症状がほとんど
消え、その後2ヶ月服薬して治療を終了した。

『荊芥連翹湯』けいかいれんぎょうとう
 
41歳女性。主訴:鼻漏、鼻閉、頭重感。副鼻腔炎の診断でマクロライド系
その他多種類の抗生物質を投与したが、症状改善はみられなかった。
そこで荊芥連翹湯エキス剤の併用投与をおこなったところ、自覚的にも
X線上でも著明に症状の改善を見た。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
58歳女性。主訴:腹部膨満感と排便困難。20代より常習性便秘症であった。
この2,3年はセンナを使用している。大腸内視鏡で大腸メラノーシスを
認めたのでセンナの服用を中止し、大建中湯エキス剤を投与したところ、
60日目ごろから腹部膨満感も消失し普通便の排出が可能になった。

『柴胡加竜骨牡蠣湯』さいこかりゅうこつぼれいとう
 
3例とも13歳、中学生。主訴:過換気発作、動悸、手足のしびれ。3人とも
バスケットボール部員で、練習中に1人が動悸、息苦しさと過換気を呈して
手足がしびれ、保健室で手当てを受けた。その後他の2人も同様の過換気
発作を起こすようになり、やがて3人とも授業中も休み時間にも頻回に
発作を起こすようになって、母親同伴で報告者の神経科を受診した。
3人とも心電図や脳波などに異常を認めず、パニック障害と診断した。
柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤の投与を開始したところ、3人とも発作の回数が
減りだし、4週間後には3人とも過換気発作は完全に消失した。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
局面状類乾癬は、その一部が皮膚リンパ腫に移行する。51歳、男性。
2年前から身体躯幹に紅班が出るようになり、いくつかの皮膚科で慢性湿疹として治療されたが、効果がみられないので報告者の皮膚科を受診した。皮膚生検ではリンパ球の浸潤が見られ、局面状乾癬と診断、外用ステロイド剤、紫外線照射などで加療を続けたが次第に治療の効果が低下し、食欲不振、体重減少を認めるようになった。体力増強の目的で十全大補湯エキス剤を投与したところ、2ヶ月目位から食欲不振が改善し、皮疹の著明な改善を認めた。体重も元に戻った。1年後の現在、十全大補湯の投与を続けており、皮膚疹の再発はない。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとう
 
64歳男性。排尿痛、残尿感を主訴として報告者の泌尿器科を受診。経直腸的に針生験を施行したところ、血尿が続き5日たっても止血しないため、黄連解毒湯エキス剤を投与した。するとすみやかに止血し、翌日退院することが出来た。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
60歳女性。上腹部痛を主訴として受診、出血性急性膵炎の診断で緊急入院と
なり、補液、制酸剤、抗生剤などによる治療を行ったが、その際柴胡桂枝湯
エキス剤を併用したところ症状の改善が漢方薬非併用例に比べてきわめて速やかであった。

『半夏瀉心湯』はんげしゃしんとう
 
55歳男性。糖尿病の診断を受けてから10年近く放置していたが、倦怠感、
多飲、多尿などで報告者の市立病院を受診。血糖降下剤に始まり、今は
頻回インスリン注射療法を続けている。食欲不振、嘔気で受診、糖尿病性
胃腸炎の診断で半夏瀉心湯エキス剤を投与したところ、1週間で胃腸症状が改善した。

『木防己湯』もくぼういとう
 
50歳女性。主訴:胸痛、動悸、呼吸困難、下肢の冷えと浮腫。2年前に狭心症と診断され、入退院を繰り返していた。内服薬は冠拡張剤、Ca拮抗剤、精神安定剤を投与され、ニトロ舌下錠も1日20回も必要であった漢方薬は苓桂朮甘湯キス剤と加味逍遥散エキス剤の投与を受けたが、効果ははかばかしくなかった。報告者の大学病院を受診し木防己湯エキス剤を投与したところ、服薬3日で胸部症状が消失しニトロ舌下錠の使用も不要になった。

『十味敗毒湯、荊芥連翹湯, 黄連解毒湯、清上防風湯、桂枝茯苓丸』じゅうみはいどくとう、けいかいれんぎょうとう、おうれんげどくとう。せいじょうぼうふうさん、けいしぶくりょうがん
 
痤瘡に対してよく用いられる上記5剤を60例に投与して改善度を比較した。
まず、漢方薬の選択の目安は、十味敗毒湯は患部の化膿傾向が強い人、
荊芥連翹湯は皮膚が浅黒く、患部が赤みが強い人、黄連解毒湯は赤ら顔で
イライラ、不眠のある人、清上防風湯は痤瘡が重症で発赤隆起がはっきり
している人、桂枝茯苓丸は紫がかった皮疹で瘀血症状のある人、という
ことで患者に薬を投与した。投与開始から効果判定までの期間は1ヶ月から
6ヶ月であった。その結果60例中48例(80%)に改善以上の効果を認めた。

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漢方ニュース 第18号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『補中益気湯、抑肝散』ほちゅうえっきとう、よっかんさん
 
精神科で最近使われだした病名に「身体表現性障害」がある。これは身体に
異常を認めないのにもかかわらず身体症状を訴え、しかも他の精神障害を
否定できるもの、と定義される。薬物嗜癖に陥る可能性があるので向精神
薬は避けるべきだし、一方医師と患者の心のつながりを保つために投薬が
必要でできるだけ穏やかな薬剤が望ましいという。

症例1:35歳女性。主訴は易疲労感と1年に何度も風邪を引く。多くの病院
を受診したが、どこも異常ない、とか気のせいだとかしか言われず、
症状が悪化して報告者の病院を受診。補中益気湯エキス剤の投与を開始
したところまもなく易疲労感はほぼ消失し、1年間服用を続けた時には
風邪もほとんど引かなくなっていた。

症例2:40歳女性。主訴は両側下腿と両側前腕の疼痛とこわばり。整形
外科などで非ステロイド鎮痛薬の投薬を受けたがやはり無効であった。
報告者を受診して、桂枝加朮附湯を投与したが、6週間後にも改善は見
られなかった。そこで抑肝散エキス剤に変更したところ、4週間後には
症状の改善が見られた。

『加味帰脾湯、柴朴湯』かみきひとう、さいぼくとう
 
心療内科の臨床において、向精神薬の長期投与による薬物依存は重大な
問題である。うつ病の症例63例に加味帰脾湯エキス剤を投与して検討した
結果、向精神薬を離脱しえた症例は31.7%、減量しえた症例は42.9%で
あった。一方パニック障害例42例を対象に向精神薬の離脱を試みたところ、
柴朴湯エキス剤が最も効果が高かった。

『茵蔯蒿湯』いんちんこうとう
 
胆道閉鎖症の手術後に多く見られる肝臓障害2例(いずれも4歳の女児)
に対し茵蔯蒿湯エキス剤を投与したところ、2例とも肝機能の改善を認めた。

『柴朴湯』さいぼくとう
 
透析関節症は8〜10年以上の透析歴を持つ患者に高頻度に認められる
合併症である。8年以上の血液透析歴を持つ慢性腎不全患者で透析関節症
と診断された患者27例に1ヶ月柴朴湯エキス剤を投与したところ、
(患者の自己評価による)有効率は60.9%であった。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
ラットに柴胡桂枝湯エキス剤を胃内投与して検討を加えた結果、柴胡桂枝湯
は膵外分泌促進作用を有し、その作用は十二指腸からの消化管ホルモン
(セクレチンなど)の分泌を介してと思われる。したがって柴胡桂枝湯は
慢性膵炎の治療に効果があるであろう。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
マウスの腎癌細胞の肺転移実験において、まずインターフェロンを単独
投与したところ、転移は阻害したが著しい体重減少を伴った。次に十全
大補湯エキス剤を単独投与したところ、転移は阻害し、且つ体重減少は
見られなかった。次にインターフェロンと十全大補湯エキス剤を併用
投与したところ、体重減少を起こすことなく抗転移効果が顕著に増強された。

『柴胡清肝湯』さいこせいかんとう
 
扁桃炎を起こしやすく年に何回も発症する児に柴胡清肝湯エキス剤を投与
してその効果を検討した報告が2つある。報告1:12例の児に3ヶ月投与した
ところ、12例中10例が有効(有効率83%)であって、しかもこの10例では
本方剤投与開始以来、扁桃炎の発症が起きていない。報告2:患児12例に
対して1年間継続投与したところ、10例で発症頻度が減少(月に約1回が年に3回ぐらい)した。

『柴胡清肝湯』さいこせいかんとう
 
アトピー性皮膚炎の患児に柴胡清肝湯エキス剤を投与して効果を検討した
報告が2つある。報告1:25例を対象とし、「やや改善」以上が68%で
あった。報告2:35例を対象とし「やや有効」以上が91.4%であったという。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
76歳女性。骨折による寝たきり化の原因の多くが加齢による骨粗鬆症で
あるという。腰背部痛と下肢冷感を主訴として報告者を受診した女性は
重度の骨粗鬆症と診断され、カルシウム剤などの投与を受けて骨密度が
改善、それに伴い腰背部痛は漸時軽快したが下肢冷感は軽快しなかった。
そこで牛車腎気丸エキス剤を投与したところ、約2週間で腰部、下肢の
“ホカホカ感”を自覚するようになり、その後も本方剤投与中であるが、副作用もなく経過している。

『大承気湯』だいしょうきとう
 
34歳女性。主訴:発熱、咽喉部痛。38度台の発熱と咽喉部痛が2日前から
続いている。他医で抗生物質、解熱剤をもらっているが改善しない。
報告者を受診。肥満し、熱のため顔が赤い。話を聞くとこの1週間大便が
出ていないという。大承気湯エキス剤を投与、1日分(7.5g)を1度に
服用するように指示した。帰宅後多量の排便があり、すぐに熱が平熱になり、咽喉部痛も軽快した。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
マウスに微量の卵白アルブミンを腹腔内に投与し、2週間後に卵白アル
ブミンを経口投与する方法で食物アレルギーを起こさせた。卵白アルブ
ミンの経口投与の2週間前から補中益気湯エキス剤の投与を続けると、
小腸粘膜や肝臓におけるアレルギー反応が有意に抑制された。

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漢方ニュース 第17号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『桃核承気湯』とうかくじょうきとう
 
70歳女性。主訴は腰のだるさ、下肢の冷え、頻尿。主訴に対して真武湯、
八味地黄丸、温経湯、五積散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯など(いずれも
エキス剤)を投与するが効果ははかばかしくなかった。そのうちに患者は
便秘と顔のほてりに苦しんでいることを洩らすようになった。そこで
桃核承気湯エキス剤投与を開始したところ、便秘、顔のほてり、下肢の冷え
が劇的に改善した。

『大承気湯、加味逍遥散』だいしょうきとう、かみしょうようさん
 
76歳女性。主訴は頑固な便秘とイライラ感、顔面の熱感と紅潮であるが
肩こり、全身倦怠、不眠など不定愁訴が極めて多い。頻回に腹部手術既往歴
(腸ねん転、イレウス、ヘルニア他)がある。他院で大黄甘草湯を投与
されたが、便秘の改善はなかった。柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤が投与され
肩こり、全身倦怠感は改善されたが、顔面の熱感は逆に悪化した。
大承気湯エキス剤、加味逍遥散エキス剤を併用投与したところ便通顔面
潮紅熱感が軽快し、2ヶ月で体重が4kg減少した。

『大承気湯』だいしょうきとう
 
35歳女性。主訴は常習性便秘。防風通聖散を1ヶ月続けたが改善はなかった
報告者を受診し、便秘と強いイライラ感を訴えた。顔面紅潮が認められた
大承気湯エキス剤の投与を開始したところ、まもなく毎日快便が得られる
ようになり、顔面の紅潮も消失した。開始後4ヶ月で12kgの体重減少が見られた。

『五苓散』ごれいさん
 
小児では感冒に伴い下痢などの胃腸症状を訴える例が多い。報告者は
感冒性胃腸症と診断した嘔吐がなく下痢があるこのような患児に対し、
五苓散エキス剤を単独または砂糖を加えて投与して検討を加えた。五苓散は
1.25gをぬるま湯30mlに溶かし、砂糖を加えた例では、それに砂糖ティ
スプーン1杯量(3.5g)を加えた。5歳以上では2.5g、それ以下では
1.25gを1回量として1日2回投与した。五苓散単独例は120例であったが、
服用できたのは62例(51.7%)で、その62例について有効率は77.4%であった
砂糖併用例は240例(95.8%)が服用できて、有効率は81.3%であった。

『六味地黄丸』ろくみじおうがん
 
4歳女児。生まれてから現在まで尿が一日中少しずつ漏れて、いつも外陰部
が濡れておりそのため外陰部から肛門のあたりまで爛れている。ただし健康
状態は良好ですこぶる元気である。六味地黄丸(この症例は煎剤である)
の投与を開始した。2週間服用してもまったく効果が見られない。ところが
3週間目の3日目、薬を服用したところで尿漏れがピタリとやんで、
1日5〜6回普通に排尿するようになった。

『小青竜湯』しょうせいりゅうとう
 
35歳女性。主訴:手掌の著しい発汗。生来、手掌および腋窩に限局する多汗
があった。普段、尿量は少ないほうである。ペインクリニックで交感神経節
ブロックを受けたが効果はほとんどなかった。20%塩化アルミニウム水の
外用療法を行ったが効果は不十分であった。小青竜湯エキス剤の投与を
開始したところ、速やかに手掌の発汗が減少し一方尿量の増加を認めた。
患者の希望により現在も投与継続中である。

『人参湯、桂枝加朮附湯、桂枝人参湯、芍薬甘草湯』にんじんとう、けいしかじゅつぶとう、けいしにんじんとう、しゃくやくかんぞうとう
 
33歳女性。脳性まひの患者。報告者の往診時患者は顔色が悪く四肢が冷た
い。介助している母親の言では本を読むのが好きだが、他のことには興味を
示さない。食事の量も極端に少なく、生活意欲の低下が認められる。
まず食欲増進を図るべく人参湯エキス剤を投与開始したところ、摂取の
回数と量の増加とともに四肢の冷感の改善が見られた。毎年涼しい季節が
過ぎると、身体の冷えと関節痛、頭痛に苦しんでいたが桂枝加朮附湯
エキス剤を追加すると、関節痛も次第に改善した。頭痛に対しては最初
当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス剤を投与したが服用後の不快感があり中止
桂枝人参湯エキス剤を投与してようやく改善が認められた。肩こりを訴える
ようになったので芍薬甘草湯エキス剤を投与して軽快を見た。いろいろな
症状が改善されるにつけて、生活意欲もどんどん増して行動範囲も広がり、
母親の介護量も大いに軽減した。

『桂枝加芍薬湯』けいしかしゃくやくさん
 
31歳、初産婦。妊娠初期より筋腫の診断を受けていたが、妊娠5ヶ月ごろ
から左腹痛を来すようになり、その痛みが徐々に悪化し、妊娠7ヶ月に
報告者の産婦人科を受診した。鎮痛剤(NSAIDs)は胎児腎不全などを
来すことがあるため使用できず、桂枝加芍薬湯エキス剤を投与したところ、
翌日には痛みが消失した。

『半夏厚朴湯、四逆散、大承気湯』はんげこうぼくとう、しぎゃくさん、だいしょうきとう
 
37歳女性。主訴:発作性咳嗽、咳で報告者の医院を受診したのだが、所見と
しては肥満していて、腹満が強く、顔が赤らんでいることが判った。便秘も
かなり激しい。半夏厚朴湯、四逆散、大承気湯と3種のエキス剤を合方
して投与した。すると気持ちよく排便できるようになり、腹満が改善すると
同時に咳嗽発作も消失した。

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漢方ニュース 第16号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『五苓散』ごれいさん
 
42歳女性。他疾患で治療中に舌が大きいのに(報告者である医師が)気づき
尋ねると、最近舌が動きにくく、しゃべりにくい、またよく舌をかむ、
という答えが返ってきた。五苓散エキス剤の投与を開始したところ、
約6ヶ月で舌に関する自覚症状はまったく消えた。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
70歳男性。視床出血を発生し入院加療。退院後痺れ感が続く。ビタミン剤
を投与さらに循環改善剤も併用したが効果は見られなかった。牛車腎気丸
エキス剤を投与開始したところ、約1ヵ月後には痺れ感が消失した。

『黄連湯』おうれんとう
 
口内炎の患者22例に黄連湯エキス剤を4週間投与した。その結果、著効8例
有効10例、やや有効2例、無効2例であり、著効、有効をあわせると18例
(81.8%)の有効率であった。

『黄連湯』おうれんとう
 
各種の慢性胃炎患者22例に最低6ヶ月黄連湯エキス剤を投与した結果、
全例で自覚症状は著明に改善した。胃内視鏡所見で表層性胃炎では100%に
改善が見られ、糜爛性出血性胃炎では6例中5例が改善された。萎縮性胃炎
では内視鏡的には改善を認めなかった。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
切開排膿を希望しなかった乳児肛門周囲膿瘍15例に対し、十全大補湯
エキス剤を7日間投与したところ10例で切開排膿を回避させることが出来た。

『芍薬甘草湯、当帰芍薬散』 しゃやくかんぞうとう、とうきしゃくやくさん
 
報告者は、3例の器質性(子宮内膜症、または子宮筋腫)月経困難症に対し、
月経5日前から月経終了までは芍薬甘草湯エキス剤を投与し、その他の日
には当帰芍薬散エキス剤を投与したところ、全例で規則的な月経が発来し、
月経痛の著しい改善が見られた。

『六君子湯』りっくんしとう
 
現在、肺結核症は短期化学療法でほとんど治癒する。しかし嘔気、食欲不振
といった消化器症状の副作用のため化学療法の継続が困難になる場合も
少なくない。報告者は、肺結核の治療に抗結核剤のリファンピシンにより
出現した嘔気、食欲不振に対して六君子湯エキス剤が有効であった4例を
経験した。うち2例は嘔吐に対し制吐剤がまったく無効であったが、
六君子湯で速やかに嘔吐が消失した。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
報告者の大学病院小児外科に入院中で慢性便秘を訴える10名の患児に
大建中湯エキス剤を投与した結果、6例の便通の改善を見たが、そのうち2例
は食欲増進も認められた。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
発熱、右片麻痺で報告者の脳神経外科に入院した76歳の男性。МRIで
多発性に脳膿瘍を認め、髄液所見では化膿性髄膜炎の所見を示した。
化学療法を行ったが、ヴァンコマイシン以外は効果なく、3ヶ月たっても
治癒の見込はない状態であった。報告者は患者自身の免疫力を改善する
目的で十全大補湯エキス剤を投与した。その結果、髄膜炎の再燃もなくなり、
МRI所見でも脳膿瘍の消失を見た。

『抑肝散加陣皮半夏』よっかんさんかちんぴはんげ
 
69歳女性。10年前に事故で車のフロントガラスに左目をぶつけ、打撲傷。
数日で治癒。最近同部に腫脹を伴う痛みが出現。いろいろ治療を受けたが
効果なし。抑肝散加陣皮半夏エキス剤を投与したところ、3日目に痛みも腫脹も消失した。

『補中益気湯、抑肝散加陣皮半夏』ほちゅうえっきとう、よっかんさんかちんぴはんげ
 
36歳男性(妻32歳、子供1人)主訴:性交できない。妻に怒られる。元気が
出ない。1年前から性交が出来なくなった。泌尿器科で機能性インポテンス
と診断され、カウンセリングを受けたが改善しなかった。その後不安に
なり元気がなくなってきたので報告者の神経科を受診した。補中益気湯
エキス剤を投与したところ、気力もすこし回復してきたが、妻がいつも
イライラして毎日夫に当たる状況だという。そこで妻に抑肝散加陣皮半夏
エキス剤を投与したところ4週間後に性交可能となった

『麻子仁丸』ましにんがん
 
60歳女性。緩下剤を使用しないと1週間も便秘が続き、緩下剤を使用すると、
効果を得るためすぐ多量になってしまい、下痢をしてしまうという繰り返し
である麻子仁丸エキス剤を投与したところ、2週間ごろから3〜4日に1回の
排便となり下痢も消失した。現在も服用中であるがなんら副作用もない。

『柴苓湯』さいれいとう
 
11歳男児。感冒が治りきらないうちに運動をして汗をかいて寝てしまった
夜から腹痛と呼吸困難が始まった。翌日来院時には起坐呼吸を呈し、
体温37.6度、胸水の貯留が見られた。柴苓湯エキス剤の投与を開始し、
5日目には臥位で就寝できるようになり、胸水も次第に減って8日目に
退院となった。柴苓湯はその後1ヶ月間服用させた。

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漢方ニュース 第15号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『呉茱萸湯』ごしゅうとう
 
34歳女性。左こめかみの締め付けられるような痛みと嘔気を訴えて報告者の
大学病院を受診。鎮痛剤投与で症状軽快。翌日症状が再発し、こんどは
鎮痛剤も無効であった。呉茱萸湯エキス剤を投与したところ1週間後症状が
軽快し、4週間後には頭痛は治癒した。

『葛根湯』かっこんとう
 
激しい寒気、頭痛、全身倦怠感、吐き気を訴えて受診した3例の患者に、
報告者は通常の2倍量の葛根湯エキス剤を熱湯に溶かして2〜3時間ごとに
内服するように指示したところ、3例とも、3回の内服で完治したという。
報告者は感冒初期には必ず2倍量(2包)の漢方エキス剤を内服させており、
多くの患者はこれで軽快するという。

『柴朴湯』さいぼくとう
 
症例1:66歳女性。15年来咳が直らない。咳が始まると嘔気がし、嘔吐して
やむ。好きな食べ物のときは咳が出ても嘔吐はしない。一般の咳止めは
まったく効かない。柴朴湯エキス剤を投与すると2週間で咳が軽快しだし
2ヵ月後には咳は出なくなった

症例2:34歳女性。夫の転勤で現住地に引越してから始まった咳は夕方に
なると毎日出始め、咳止めも効かずこの咳は5年間続いた。柴朴湯エキス剤
を投与すると咳は次第に軽快し6ヶ月後には咳はほとんど出なくなった。
2症例とも仮面鬱症状が咳の真因であったために柴朴湯が著効した、
と報告者は推測している。

『半夏白朮天麻湯』はんげびゃくじゅつてんまとう
 
13歳女児。食欲低下、嘔吐、頭痛、立ちくらみで不登校となって受診。
検査では貧血もなく、生化学検査、胸部X線検査も異常を認めない。
しかし起立性調節テスト(以下ОDと略)テストでは陽性でОD胃腸虚弱型
と診断した。そこで半夏白朮天麻湯エキス剤の投与を開始したところ、
投与2週間後より食欲不振、嘔吐、立ちくらみなどの症状が軽快し、
登校が可能となった。投与2ヵ月後にはОDのテスト結果も改善を認めた。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
報告者の大学病院耳鼻咽喉科を耳鳴りを主訴として受診した28例(男性18例
女性10例、年齢は35歳〜71歳)に牛車腎気丸エキス剤を8〜56週投与した
ところ、有効例(耳鳴りがほとんど消失したものから、わずかに軽快した
ものまで)は23例(有効率82%)であった。

『小柴胡湯』しょうさいことう
 
年間5回以上急性咽頭扁桃炎を繰り返す1〜13歳(平均年齢は5歳7ヶ月)の
男児6例、女児7例の計13例に小柴胡湯エキス剤を6ヶ月〜2年間投与した
ところ、10例が有効、2例がやや有効、1例は無効であった。有効例では
発症頻度が半分以下になり、食欲が増し、体重が増加して顔色もよくなった。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
乳児痔瘻は瘻孔や肛門からの排膿、頻回の排便などの症状を呈する。男児
に圧倒的に多い。排便後の洗浄瘻孔の掻爬などを行いつつ保存的に治療
する場合、おおくは生後1年4ヶ月くらいまでに自然治癒するが早期に根治
術を行うのをよしとする意見も少なくない。報告者は13例の乳児痔瘻患者に
十全大補湯エキス剤を投与したところ8例が7日後に、3例が12〜21日後に
2例が51〜65日後に、排膿がとまり痔瘻の軽快を見た。

『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
痙攣性疼痛はいまだに発現機序も不明であり、有効な(西洋医学的)
治療法も少ない。最も頻度の高いこむら返りには、漢方薬の芍薬甘草湯が
有効であるという報告は多い。肝硬変患者の場合、健常人の4倍以上
こむら返りは多いが芍薬甘草湯エキス剤の有効率は90%以上であった。
糖尿病患者の場合、こむら返りの発現が健常人の6倍以上に達するが
芍薬甘草湯エキス剤の有効率は90%であった。背椎疾患患者(椎間板
ヘルニアや背柱管狭窄症)でもこむら返りが好発するが、41例中40例(97.6%)に有効であった。

『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
高プロラクチン血症があると、排卵障害、不妊症の原因となる。その治療に
使われるドパミン作動薬は嘔気、めまいなどの副作用が強くて服薬継続が
出来ないことも多い。報告者らは血中プロラクチン値を正常化させる作用が
知られている、芍薬甘草湯エキス剤の使用を考えた。51例の高プロラクチン
血症の女性に芍薬甘草湯エキス剤を投与したところ、服用4〜16週で11例に
妊娠が成立した。服用中に嘔気などの副作用はまったく見られなかった。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
46歳男性。頭重感、項部痛を主訴に受診、180/110mmHgの高血圧であった。
食事、運動療法を指導し、釣藤散エキス剤を投与した。2週間後血圧は
178/118mmHgと変わらなかったが、頭重感、項部痛は完全に消失していた。
降圧剤の投与を開始、釣藤散と併用したところ、頭重感、項部痛は消失
したままで血圧は160/90mmHgと低下傾向にある。

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漢方ニュース 第14号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『清暑益気湯, 竹筎温胆湯』せいしょえっきとう、ちくじょうんたんとう
 
69歳男性。じん肺を伴う非A非B型慢性肝炎と診断されている。全身倦怠感
咳、痰を訴えた。清暑益気湯エキス剤と竹筎温胆湯エキス剤の投与を続けた
ところ、肝炎症状、じん肺症状いずれも改善を見た。

『清暑益気湯』せいしょえっきとう
 
66歳女性で肝硬変の診断を受けており、易疲労感、食欲不振、全身倦怠感が
強い。清暑益気湯エキス剤投与を続けたところ、自覚症状が改善し、
日常生活がまったく苦にならない程度に生活の質(QОL)が改善された。

『清暑益気湯』せいしょえっきとう
 
夏場に夏ばて(食欲不振、全身倦怠感)を訴えた6名の外来患者(平均年齢
36歳)に清暑益気湯エキス剤を投与して2週間で全員に症状の改善を認めた
報告がある。また同じ症状を訴えた夫々71歳、80歳の女性に清暑益気湯
エキス剤を投与して症状の改善を認めた報告もある。

『半夏厚朴湯』はんげこうぼくとう
 
45歳男性。精神分裂症。自殺を図り、報告者の病院に入院“吐き気がする”と
ベットの上で“げーげー”と呻吟する。“口が閉じない”といって口をあけた
まま臥床している。転換性障害と考え、半夏厚朴湯エキス剤の投与を始めた
ところ、投与数日後より、口を閉じるようになり、嘔気や呻吟も消失した。

『柴胡加竜骨牡蠣湯』さいこかりょうこつぼれいとう
 
症例1:35歳女性。2ヶ月前からパニック発作が頻発して報告者の精神科に
来院。抗鬱剤と抗不安薬を投与、暫時増量して3ヵ月後に寛解した。
その後家庭内トラブルを機に症状が再発。薬剤を増量したところ、副作用で
ある眠気、倦怠感が強く見られたため薬剤量を減らし、柴胡加竜骨牡蠣湯
エキス剤を追加投与したところ、約2週間で症状が改善した。
    
症状2:30歳男性。3年前からパニック障害を発症、前医では抗不安薬と
柴朴湯エキス剤の投与を受けていたが、パニック障害が悪化したので報告者
の精神科に来院。柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を投与したところ約4週間で
症状が改善、抗不安薬の減量も可能になった。

『小柴胡湯加桔梗石膏』しょうさいこかききょうせっこう
 
症例1:23歳男性。幼少時よりアトピー性皮膚炎があり。顔面は紅班落屑
で難治。タクロリムス軟膏を使うと刺激が強く1週間で中止。小柴胡湯加桔梗
石膏エキス剤を投与をしたところ9週で著しく軽快した。

症例2:29歳女性。小児期よりアトピー性皮膚炎あり。顔面潮紅著しく、
部分的に湿潤(そのためタクロリムス軟膏使用不可)。小柴胡湯加桔梗
石膏エキス剤投与を開始し、8週後にはほとんど軽快(乾燥性の淡紅色
局面を1部残す)。以後も内服を約1年続行している。

『四物湯、桂枝茯苓丸』しもつとう、けいしぶくりょうがん
 
3例の妊娠性静脈瘤症例に対して四物湯エキス剤と桂枝茯苓丸エキス剤と
を併用投与したところ、いずれも著効が見られ、4〜8週で静脈瘤が消失した。

『小柴胡湯』しょうさいことう
 
37歳、女性。主訴は37度ほどの微熱であるが、血液検査、レントゲン検査
などすべて異常を認めない。結核専門医により結核も否定された。原因も
不明であり、各種抗炎症、抗菌治療でも効果は認められない。そこで
小柴胡湯エキス剤の投与を開始したところ約1年で微熱は出なくなり治療は終了した。

『六君子湯、半夏厚朴湯』りっくんしとう、はんげこうぼくとう
 
40歳男性。数ヶ月前よりゲップが発生し徐々に増悪するため来院。内視鏡で
食道炎を認めた。プロトンポンプ阻害薬と消化管運動促進薬を2週間投与
したが無効であった。そこで六君子湯エキス剤と半夏厚朴湯エキス剤を
併用したところ、徐々にゲップは軽快し、8週間後にはゲップは消失、
内視鏡では食道炎の所見が消失した。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
消化液性瘻孔(膵液瘻など)や腸瘻(糞瘻)は難治性で一般的には手術で
摘出する。今回報告者は十全大補湯の使用で摘出術を施行せずに瘻孔を
閉鎖させた2症例を報告した。

症例1:12歳の男児で膵腫瘍切除術後膵液瘻が発生、直ちに十全大補湯
エキス剤を投与し7日目に瘻孔は閉鎖した。
 
症例2:2ヶ月の男児で先天性腸閉鎖の根治手術後腸瘻が発生、直ちに十全
大補湯エキス剤を投与し10日で瘻孔の閉鎖を見た。

『清暑益気湯』せいしょえっきとう
 
14歳女性。主訴は浮腫と蛋白尿。ネフローゼ症候群と診断される。プレド
ニン内服を続けていたが疲れやすい、寝てばかりいる、皮膚に潤いがない。
清暑益気湯エキス剤の投与を開始したところ、元気になり、体重増加が
見られ、皮膚につやが出て、プレドニンも中止することが出来た。

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漢方ニュース 第13号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『五苓散、柴苓湯』ごれいさん、さいれいとう
 
小児の急性胃腸炎や感冒性胃腸症では、嘔吐のため経口摂取不良により
脱水を来たす事がしばしばあるが、その際点滴による治療が必要であっても
熟練した小児科医でさえ血管確保が困難な場合がある。五苓散や柴朴湯の
嘔吐に対する有効性は従来から認められているが、報告者は両薬を注腸で
投与してその効果を検討している。ツムラ五苓散エキス剤またはツムラ
柴朴湯エキス剤を生理食塩水10ミリリットルに溶解し、5歳以上は2.5グラム
を、それ以下は1.25グラムを用いて注腸した。その結果五苓散投与例
297例については有効率84.8%、柴朴湯投与例263例については有効率
85.6%であり、副作用は両者ともなかった。

『人参養栄湯』にんじんようえいとう
 
子宮頸癌で放射線治療を受け成功裡に治療終了。2年後に左鎖骨リンパ節
に転移再発を認めた55歳の症例。化学療法を2クール行って、リンパ節
転移巣の50%以上の縮小と腫瘍マーカーの正常化を認めた。1クール目に
強い薬疹が出現し、あらゆる治療が無効であった1クール終了後に自然に
消失した。また1クール終了後強い骨髄機能抑制を認めた。2クール目は
骨髄機能抑制を予防する目的で人参養栄湯エキス剤を服用させたところ、
骨髄機能抑制が起きずに化学療法を終了することが出来たが、興味深い
ことに2クール目は薬疹の発生が完全に抑制された。

『六君子湯』りっくんしとう
 
運動不全型のNUD(非潰瘍消化障害)、すなわち食欲不振、胃もたれ、
嘔気などを4週間以上訴え、内視鏡検査では潰瘍、炎症、悪性腫瘍など
を認めない患者を対象とし、21例(男性10例、女性11例、年齢38〜64歳)
に六君子湯エキス剤を4週間投与して検討した結果、六君子湯は上部消化
管愁訴を60%前後有効率をもって改善した。

『苓甘姜味辛夏仁湯』りょうかんきょうみしんげにんとう
 
39歳、女性。クシャミ、鼻水、鼻閉があり小青竜湯エキス剤を投与した
ところ胃腸の調子が悪いという。苓甘姜味辛夏仁湯エキス剤に変方した
ところ、内服4週間で鼻炎、胃疾ともに軽快した。

『半夏厚朴湯』はんげこうぼくとう
 
63歳女性。右眼球にごみが入った様な異物感が生じた。眼科では異常はない
と言われた。半夏厚朴湯エキス剤を投与したところ2週間の服用で症状は消失した。

『抑肝散加陣皮半夏』よっかんさんかちんぴはんげ
 
最近、キレる若者が問題になることが多い。症例は13歳の男性(中学2年)。
中学1年のときから級友から罵声を浴びせられ、殴られたり、蹴られたりし
だんだん不登校になり母親が心配して報告者の神経科受診となった。本人が
言うには些細なことでイライラする。ナイフで人を刺したくなる。自分が
キレるのが怖い、向精神薬の服用は絶対いやだということである。抑肝散加
陣皮半夏エキス剤の投与を開始したところ、2週間後、4週間後とイライラが
軽減して行き、8週間後にはイライラが完全に消失した。

『加味帰脾湯』かみきひとう
 
生理的老化による記銘力障害(健忘症)を訴えた7例を対象とし、コントロール
群としては脳血管性痴呆4例とアルツハイマー病3例とした。加味帰脾湯
エキス剤を12週か投与し、長谷川式知能評価スケールで判定した。投与前
平均20点であったものが12週目には25点に上昇したのに対して痴呆群では
投与前9点が12週目10点と変わらなかった。生理的老化群では全員に
自覚的改善が認められ、全員が服薬継続を希望した。

『半夏厚朴湯』はんげこうぼくとう
 
進行期卵巣癌は癌性腹膜炎を併発し、腸閉塞などの原因となる。症例は
52歳の進行期卵巣癌患者。癌性直腸狭窄による排便困難および腹痛、腰痛
を訴え、開腹したが腸管は卵巣癌組織に巻き込まれ切除はまったく不可能の
まま手術を終了した。術後3日目から直腸刺激症状が出現し、1日30回以上も
トイレに行くという異常な便意亢進を訴えた。鎮痙剤や消炎鎮痛剤を投与
したがまったく無効であった。そこで術後10日目から半夏厚朴湯エキス剤
を投与したところ、服薬直後より異常便意が消失した。患者の希望で継続内服中である。

『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
40歳女性。5年前より強度の月経痛があり鎮痛剤を常用する。診察所見では
子宮筋腫など器質的異常は認めない。芍薬甘草湯エキス剤を月経5日前から
10日間投与したところ2〜3週期で月経痛はほとんど消失した。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
某病院脳神経外科に入院中のМRSA患者30例を対象として補中益気湯
エキス剤を12週間投与した。その結果МRSA消失例は9例(27%)に
過ぎなかったがМRSA非消失例21例(73%)について検討を加えると、
すべて炎症所見が高度であったり、感染症状が顕著であることが判明した。
後者については抗生物質などの併用が必要であると思われる。

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漢方ニュース 第12号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
立ちくらみ、ふらつきを主訴に報告者の耳鼻咽喉科を受診した患者に
起立検査を行い、起立性低血圧を認めたもの(男性4例、女性13例)に
補中益気湯エキス剤を症例により1週間〜12ヶ月間投与したところ、全例に
立ちくらみ、ふらつきの症状改善を認め起立性低血圧についても改善が見られた。

『麻子仁丸』ましにんがん
 
開腹手術後の腸管癒着を伴う常習性便秘症32例に対し麻子仁丸エキス剤を
投与したところ、22例(69%)で便秘は改善した。

『防風通聖散』ぼうふうつうしょうさん
 
常習性便秘症の診断をされた90例に対し防風通聖散エキス剤を投与した
ところ79例(88%)で便秘は改善した。

『半夏瀉心湯』はんげしゃしんとう
 
下痢を訴える患者で内視鏡検査では異常所見を認めず、下痢型過敏性腸症
候群と診断した15例に対し半夏瀉心湯エキス剤を2週間投与したところ、
下痢が改善したのは11例(73%)であった。

『潤腸湯』じゅんちょうとう
 
潰瘍性大腸炎の患者で治療により下痢が治癒し、内視鏡検査で炎症所見も
すべて消失した後で便秘を起こす例がある。そのような便秘例17例に
潤腸湯エキス剤を投与したところ、14例(82%)で便秘が改善した。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとう
 
急性大腸炎で下血を認めるものの15例に黄連解毒湯エキス剤を2週間投与
したところ、13例(87%)で下血が改善した。ところが下血を認めるもの
の中で内視鏡で潰瘍性大腸炎と診断できた8例ついては黄連解毒湯を投与
しても下血が改善したのは1例(13%)のみであった。

『黄耆建中湯』おうぎけんちゅうとう
 
アルツハイマー病、老人性認知症(老人性痴呆症)、パーキンソン病で
それぞれ6ヶ月から1年寝たきりで重症の褥瘡が発生した3例に黄耆建中湯
エキス剤を投与したところ、3例とも顕著な効果が認められた。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
胃切除術を施行後、術後骨粗鬆症が頻発する 補中益気湯エキス剤を投与
することにより骨粗鬆症の回復が促進された。これは補中益気湯により
消化管機能が良好になったためと考えられる。

『十全大補湯、補中益気湯』じゅうぜんだいほとう、ほちゅうえっきとう
 
胃切除術のような侵襲の大きな手術の場合、蛋白代謝に異常を来すことが
多いこの異常の改善は手術侵襲軽減のひいては全身状態の回復の指標と
なりうる胃癌、大腸癌、直腸癌術後の患者を対象として手術直後から
十全大補湯エキス剤、または補中益気湯エキス剤を胃ゾンデで投与した
群とコントロール群とに分けて比較したところ十全大補湯群、補中益気湯群は
コントロール群に対し有意に蛋白質代謝の改善効果を認めた。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
消化器手術後の単純性癒着製イレウスに対し、11の医療施設の共同研究と
して大建中湯エキス剤を投与して観察したところ、52名の患者について有用率
88.5%という良い結果が出た。大建中湯を使用しなかった従来の平均有用率
75%に対し約15%改善されたことになる。

『六君子湯』りっくんしとう
 
胃の手術後に発生する逆流性食道炎の患者数名に対し六君子湯エキス剤を
投与したところ、ほぼ前例が治癒した。その後胃の手術患者を六君子湯投与
群と非投与軍に分けて比較した結果、投与群が有意に自覚症状も少なく
内視鏡的にも軽症であることが確認された。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとう
 
マウスの両側総頚動脈を15分間結紮することで一過性脳虚血を起こし、7日
間後に調べると脳の1部に脳細胞死が観察された。一方この7日間に
黄連解毒湯エキス剤を投与した群では脳細胞死が有意に抑制された。
この結果から黄連解毒湯が脳卒中後遺症に用いられることの妥当性が示された。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとう
 
ラットに6時間の水浸ストレスをかけ、同時に黄連解毒湯エキス剤を
20,100,250mg/kgの量で投与した。水浸ストレスのみの群では胃粘膜傷害
の進展が明らかに認められたが、黄連解毒湯投与群では胃粘膜傷害が濃度依存的に抑制された。

『麻黄湯』まおうとう
 
発熱がなく鼻閉を主訴として来院した乳児(生後3ヶ月〜6ヶ月)に麻黄湯
エキス顆粒1.0グラム(1日量)を分4して哺乳の30分前に投与した。投与法は
保護者の指先を白湯でぬらし、その指で麻黄湯を乳児の上顎に塗りつけた。
その結果58例の乳児のうちやや有効は48例と高い有効率を得、しかも副作用は認めなかった。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとう
 
報告者の精神科医院を受診した4例の躁鬱病患者に向精神薬以外に黄連
解毒湯エキス剤を併用した。その結果、全例で向精神薬の減量が可能になり
過鎮静、過賦活などの向精神薬の副作用の発現が防止されるとともに、
気分の持続的安定が得られた。また2例の大量飲酒抑制作用が顕著に認められた。


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漢方ニュース 第11号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『温清飲』うんせいいん
 
42歳男性、顔面、下肢に掻痒を伴う湿疹が発生、近くの皮膚科でステロイド
軟膏他の投薬を1年ほど受けたが効果は見られなかった。報告者を受診し
尋常性乾癬の診断の元に温清飲エキス剤の投与を開始したところ約1ヶ月で
完全に消失した。治癒1ヵ月後の現在も患者の希望により温清飲を継続服薬中である

『十味敗毒湯、柴胡桂枝湯』じゅうみはいどくとう、さいこけいしとう
 
近年、乳癌の術後に抗腫瘍ホルモン療法が行われ、再発予防に寄与して
いる。このホルモン剤は合成黄体ホルモン剤で乳癌、子宮体癌に用いられ、
抗エストロゲンと抗ゴナドトロピン作用を併せ持つ。

症例は57歳の女性で乳癌手術、放射線治療後ホルモン療法を開始したが、
顔面に皮疹が出現し報告者の皮膚科を受診した。十味敗毒湯エキス剤投与
開始し、約1ヶ月で皮疹は改善した。皮疹と同時に熱感、発汗過多も出現
していたが、これに対して加味逍遥散を6週間投与したが効果なく、
当帰芍薬散に変更しやはり6週間投与したが効果を認めなかった。そこで
柴胡桂枝湯エキス剤の投与を開始したところ、』4日ほどで効果が現れ始め
2週間ほどで熱感、発汗ともにほぼ消失した。患者の希望で現在も2剤の内服継続中である。

『葛根湯加川芎辛夷、五虎湯』かっこんとうかせんきゅうちゃちょうさん
 
感冒の発症後数日たって熱も下がった頃から頑固な咳嗽が長引いて苦しむ
患者が時々いる。頑固な咳嗽は後鼻漏がその主因であろうと報告者は推測し
(せき止めの)五虎湯と(鼻炎の)葛根湯加川芎辛夷を合方して試してみた。
その結果このような頑固な咳嗽に速効的かつ良効な効果をあげることが出来た、と報告者は述べている。

『半夏厚朴湯』はんげこうぼくとう
 
76歳、女性。胸焼けが強く他院で上部消化管内視鏡検査を受け糜爛性胃炎を
発見、治療を受け胸焼けは治癒した。ところが検査8ヵ月後になってから
咽喉頭異常感を訴えるようになった。そこで半夏厚朴湯エキス剤の投薬を
開始したところ10日後にはほとんど異常感は消失したが患者の希望で服薬を2ヶ月続けた。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとう
 
75歳、男性。頸部の腫瘍の手術目的で報告者の外科病院に入院。高血圧と
糖尿病が発見された。降圧剤とインシュリンを使用しながら手術施行。
術後のぼせ、不眠、痒みの強い湿疹を訴えたため黄連解毒湯エキス剤の
投与を開始した。予想していなかったことだが血糖が急速に落ち着きていき、
1週間後にはインシュリンの投与も不要となった。SU剤などの経口糖尿病
薬は使用していない。黄連解毒湯がなぜこれほど糖尿病の改善に有効で
あったのかは理解できないと報告者は云う。

『人参養栄湯』にんじんようえいとう
 
71歳、女性。血小板減少性紫斑病の診断を受け入院を勧められたが同意
せず、報告者の胃腸病院を訪れた。血小板数は2.3万であった。漢方治療を
希望したので人参養栄湯エキス剤の投与を開始した。投与3ヵ月後には紫斑
がかなり減少し、出血がすぐ止まるようになった。血小板数は3.8万であった。
投与1年後には血小板数11万となり、紫斑や皮下出血は消失した。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
著者らは、多くの施設で脳血管性痴呆症の患者に対する釣藤散エキス剤の
効果を調べる研究を、偽薬を用いた封筒法(60例)と二重盲検法(139例)
で行った。その結果、脳血管性痴呆に対する釣藤散の有効性が確実に認められた。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
腰の痺れと痛みを訴える49〜83歳の患者19名に対して牛車腎気丸エキス剤を
4ヶ月投与したところ、痛みは全例が2ヶ月で有意に改善され、痺れは7例が
2ヶ月で有意に改善、残り12例も4ヶ月には有意に改善された。

『五苓散』ごれいさん
 
抗鬱病薬であるフルヴォキサミンの副作用として嘔気や胃部不快感がある。
鬱病の47〜52歳の女性患者3名にフルヴォキサミンを投与開始して2〜3日目
に嘔気と胃部不快感を訴えた。五苓散エキス剤を追加投与したところ、3例
とも投与開始日から不快な症状が消失し副作用は見られなかった。

『当帰芍薬散、芍薬甘草湯』とうきしゃくやくさん、しゃくやくかんぞうとう
 
子宮筋腫や子宮内膜症の治療に使われるホルモン治療にGnRHa法がある。
これは卵巣機能を強力に抑制して低エストロゲン状態をもたらし、筋腫の
縮小を図るものである。低エストロゲン状態は高率に更年期障害様症状を
誘発する。自然の更年期障害はきわめて多彩な症状が特徴であり、その原因
も低エストロゲン状態のみでは説明しきれないものがあり、それに対応する
漢方薬も証に応じて多数に上る。それに対し低エストロゲン状態に起因する
症状はホットフラッシュ、肩こり、頭痛に限られ、精神神経症状は一例も
なかった。そしてホットフラッシュと頭痛は当帰芍薬散エキス剤が奏功し、
肩こりには芍薬甘草湯エキス剤が著効した。これらはすべて漢方的証とは
関係がなかった。このことは、自然更年期障害の症状のうちで、低エストロ
ゲン状態に起因する症状には証にかかわらず当帰芍薬散、芍薬甘草湯が奏功する可能性を示唆する。


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漢方ニュース 第10号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『温清飲』うんせいいん
 
42歳男性、顔面、下肢に掻痒を伴う湿疹が発生、近くの皮膚科でステロイド
軟膏他の投薬を1年ほど受けたが効果は見られなかった。報告者を受診し、
尋常性乾癬の診断の元に温清飲エキス剤の投与を開始したところ約1ヶ月で
完全に消失した。治癒1ヵ月後の現在も患者の希望により温清飲を継続服薬中である

『十味敗毒湯、柴胡桂枝湯』じゅうみはいどくとう、さいこけいしとう
 
近年、乳癌の術後に抗腫瘍ホルモン療法が行われ、再発予防に寄与している。このホルモン剤は合成黄体ホルモン剤で乳癌、子宮体癌に用いられ、抗エストロゲンと抗ゴナドトロピン作用を併せ持つ。
症例は57歳の女性で乳癌手術、放射線治療後ホルモン療法を開始したが、顔面に皮疹が出現し報告者の皮膚科を受診した。十味敗毒湯エキス剤投与開始し、約1ヶ月で皮疹は改善した。皮疹と同時に熱感、発汗過多も出現していたが、これに対して加味逍遥散を6週間投与したが効果なく、当帰芍薬散に変更しやはり6週間投与したが効果を認めなかった。そこで柴胡桂枝湯エキス剤の投与を開始したところ、4日ほどで効果が現れ始め2週間ほどで熱感、発汗ともにほぼ消失した。患者の希望で現在も2剤の内服継続中である。

『葛根湯加川芎辛夷、五虎湯』かっこんとうかせんきゅうちゃちょうさん、ごことう
 
感冒の発症後数日たって熱も下がった頃から頑固な咳嗽が長引いて苦しむ
患者が時々いる。頑固な咳嗽は後鼻漏がその主因であろうと報告者は推測し
(せき止めの)五虎湯と(鼻炎の)葛根湯加川芎辛夷を合方して試してみた。
その結果このような頑固な咳嗽に速効的かつ良効な効果あげることが出来た、と報告者は述べている。

『半夏厚朴湯』はんげこうぼくとう
 
76歳、女性。胸焼けが強く他院で上部消化管内視鏡検査を受け糜爛性胃炎を
発見、治療を受け胸焼けは治癒した。ところが検査8ヵ月後になってから
咽喉頭異常感を訴えるようになった。そこで半夏厚朴湯エキス剤の投薬を
開始したところ10日後にはほとんど異常感は消失したが患者の希望で服薬を2ヶ月続けた。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとう
 
75歳、男性。頸部の腫瘍の手術目的で報告者の外科病院に入院。高血圧と
糖尿病が発見された。降圧剤とインシュリンを使用しながら手術施行。
術後のぼせ、不眠、痒みの強い湿疹を訴えたため黄連解毒湯エキス剤の
投与を開始した。予想していなかったことだが血糖が急速に落ち着きていき、
1週間後にはインシュリンの投与も不要となった。SU剤などの経口糖尿病薬は
使用していない。黄連解毒湯がなぜこれほど糖尿病の改善に有効であった
のかは理解できないと報告者は云う。

『人参養栄湯』にんじんようえいとう
 
71歳、女性。血小板減少性紫斑病の診断を受け入院を勧められたが同意
せず、報告者の胃腸病院を訪れた。血小板数は2.3万であった。漢方治療を
希望したので人参養栄湯エキス剤の投与を開始した。投与3ヵ月後には紫斑
がかなり減少し、出血がすぐ止まるようになった。血小板数は3.8万であった。
投与1年後には血小板数11万となり、紫斑や皮下出血は消失した。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
著者らは、多くの施設で脳血管性痴呆症の患者に対する
釣藤散エキス剤の
効果を調べる研究を、偽薬を用いた封筒法(60例)と二重盲検法(139例)
で行った。その結果、脳血管性痴呆に対する釣藤散の有効性が確実に認められた。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
腰の痺れと痛みを訴える49〜83歳の患者19名に対して牛車腎気丸エキス剤を
4ヶ月投与したところ、痛みは全例が2ヶ月で有意に改善され、痺れは7例が
2ヶ月で有意に改善、残り12例も4ヶ月には有意に改善された。

『五苓散』ごれいさん
 
抗鬱病薬であるフルヴォキサミンの副作用として嘔気や胃部不快感がある。
鬱病の47〜52歳の女性患者3名にフルヴォキサミンを投与開始して2〜3日目
に嘔気と胃部不快感を訴えた。五苓散エキス剤を追加投与したところ、3例
とも投与開始日から不快な症状が消失し副作用は見られなかった。

『当帰芍薬散、芍薬甘草湯』とうきしゃくやくさん、しゃくやくかんぞうとう
 
子宮筋腫や子宮内膜症の治療に使われるホルモン治療にGnRHa法がある。
これは卵巣機能を強力に抑制して低エストロゲン状態をもたらし、筋腫の縮小を図るものである。低エストロゲン状態は高率に更年期障害様症状を誘発する。自然の更年期障害はきわめて多彩な症状が特徴であり、その原因も低エストロゲン状態のみでは説明しきれないものがあり、それに対応する漢方薬も証に応じて多数に上る。それに対し低エストロゲン状態に起因する症状はホットフラッシュ、肩こり、頭痛に限られ、精神神経症状は一例もなかった。そしてホットフラッシュと頭痛は当帰芍薬散エキス剤が奏功し、肩こりには芍薬甘草湯エキス剤が著効した。これらはすべて漢方的証とは関係がなかった。このことは、自然更年期障害の症状のうちで、低エストロゲン状態に起因する症状には証にかかわらず当帰芍薬散、芍薬甘草湯が奏功する可能性を示唆する。

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漢方ニュース 第9号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『清肺湯』せいはいとう
 
マウス、ラットなどを使った動物実験で、清肺湯は1)感染した肺組織に
おける細胞障害性活性酸素の産生抑制、2)気道粘膜における抗炎症作用、
3)痰の粘度低下作用、4)肺表面活性物質分泌亢進作用 5)気管粘膜異物
輸送促進作用などの効果を持つことが認められた。

『清肺湯』せいはいとう
 
慢性閉塞性肺疾患(CОPD)は、慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息などを
包括する概念で、本疾患群の主症状は持続性の咳嗽、喀痰、呼吸困難で
ある。昨今の高齢化社会を反映してCОPDは増加の一途にある。41例の
CОPDに対し清肺湯エキス剤を4週間投与した結果、やや有効以上の有効率
は53.6%であった。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
精神分裂症の治療は長期的に抗精神病薬を使用するため、抗コリン作用に
よる副作用として頑固な便秘からイレウスをきたすことがある。57歳女性で
分裂症の症状は現在のところ安定しているが便秘がひどく、2度もイレウスで
入院した。3回目のイレウスでの入院時には本人が漢方薬投与を希望した
ので、大建中湯エキス剤投与を開始した。2週間後には、腹部膨満感が
楽になり、以後イレウスをきたすことはなくなった。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
69歳の膀胱癌の男性で、回腸を用いて自排尿型代用膀胱造設術を行った
患者。術後排尿状態は落ち着いていたが、腹部膨満感、軟便、排便後の
不快感を訴えた。種々の薬剤を投与したが改善しない。大建中湯エキス剤
投与を開始したところ、2週間後には腹部症状は改善された。4ヵ月後には体調全般が良好である。

『潤腸湯』じゅんちょうとう 
 
高齢者は便秘しやすく、しかもその大部分は弛緩性便秘である。高度の便秘
を訴える88歳の男性で、下剤の使用量も次第に増加して大量におよび、
ようやく排便できた時には下痢便になる、という繰り返しであった。
潤腸湯エキス剤の投与を開始したところ2週間目から排便が3日に1回の頻度
となり、水様便も消失した。本人の希望もあり現在も投与中であるが特に副作用も認められていない。

『茵蔯五苓散』いんちんごれいさん
 
75歳男性。上腹部痛で受診し、膵嚢胞が発見され、同時にアミラーゼ、
リパーゼの高値と膵炎の所見が認められた。その後各種薬剤の投与が
行われたが、上腹部痛の軽減なく21ヶ月が過ぎた。そこで茵蔯五苓散エキス
剤の投与を開始したところ、投与5ヶ月目より膵嚢胞の縮小傾向が見られ、
アミラーゼ、リパーゼが正常化した。投与10ヵ月後には嚢胞は著明に縮小し、上腹部痛も消失した。

『茵蔯蒿湯』いんちんこうとう
 
マウスに実験的に肝障害を誘発する際に、茵蔯蒿湯エキス剤を前投与した
ところ誘発肝障害は明らかに軽減され、その機序として炎症性サイトカインの
過剰産生を茵蔯蒿湯が抑制している可能性が示唆された。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
C型慢性肝炎から肝硬変、肝癌へと進行する例はかなり多い(年3.6%)。
報告者の経験ではGPТ値を年平均80単位未満にコントロールできた例では
肝癌発生率は年率1.1%であるという。そこでC型肝炎、肝硬変患者に
十全大補湯エキス剤を数ヶ月間投与したところ15例中8例にGPТ値の低下が
認められ、十全大補湯に肝癌発生抑制効果があることが示唆された。 

『香蘇散』こうそさん
 
23例の「ヒステリー球」患者に対して香蘇散エキス剤を14日以上投与した
ところ、18例で症状の消失を、3例の軽快を認めた。

『人参湯』にんじんとう
 
自然発生的自己免疫生糖尿病を発生するNОDマウスについて検討を加えた
結果、人参湯エキス剤を投与したNОDマウス群での糖尿病発生が10匹中2匹
のみであるのに対し、コントロール群では10匹中7匹が糖尿病を発症した

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漢方ニュース 第8号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『黄連解毒湯、桂枝茯苓丸』おうれんげどくとう、けいしぶくりょうがん
 
60歳男性。掻痒を伴う紅班が全身に出現し、報告者の大学病院皮膚科を受診した。蕁麻疹様紅班の診断の元にステロイド剤内服を主とした治療を開始したが、4年間、症状は一進一退であった。そこで黄連解毒湯エキス剤と
桂枝茯苓丸エキス剤の投与を行ったところ、投与4週間後に皮疹はかなり減少し、8週後にはまったく消退した。

『半夏瀉心湯、柴苓湯』はんげしゃしんとう、さいれいとう
 
塩酸イリノテカンの登場により、従来難治性とされていた各種卵巣癌、子宮癌などの化学療法有効率が大きく改善される可能性がある。一方同剤の副作用としては死亡につながる重度の骨髄抑制の他に重篤な副作用として水様性下痢がある。報告者は塩酸イリノテカン服用中の癌患者に水様下痢を発症したときに半夏瀉心湯エキス剤を投与し、以下の経験を学び取ったという。
1)水様下痢に対し半夏瀉心湯エキス錠剤を投与しても効果なく、2回量を一度に服用しても無効であった。そこで半夏瀉心湯エキス顆粒剤の2回量を一度に投与したところ直ちに下痢が止まった。
2)水様下痢に対し柴苓湯エキス剤(顆粒)の2回量を一度に服用したところ半夏瀉心湯とほぼ同等の下痢阻止効果があったが。やや遅効性であり、半夏瀉心湯にはない著しい腹鳴を伴い患者が不快感を訴えた。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
55歳の女性。腰痛および左下肢痛を主訴として受診。МRIで「腰部椎間板ヘルニア」と診断された。内服薬投与、局所注射、硬膜外注射を受けたが軽快を見ず、むしろ次第に悪化し、結局腰部椎間板摘出術を施行した。
一時は軽快した症状はその後ぶりかえし、6ヵ月後には前より悪化してしまった。種々の治療もほとんど効果がない。そこで牛車腎気丸エキス剤の投与を開始したところ、2週間後には腰痛と左下肢痛の軽減を認め4週間後の現在ではさらに症状が軽快中である。

『抑肝散加陣皮半夏』よっかんさんかちんぴはんげ
 
MRIなどの進歩により、潜在性(無症候性)脳梗塞によりうつ状態を呈する人々が存在することが明らかになってきた。79歳の女性が抑うつ、不眠、物忘れを主訴に報告者の神経科を受診した。抗欝薬、抗不安薬、睡眠薬を投与したが無効であるばかりか口渇、便秘など副作用を強く訴えた。
一方МRIで多発性脳梗塞の所見を認めたのでさらに脳循環.代謝改善薬も追加投与したが一向に症状は改善しなかった。そこで抑肝散加陣皮半夏エキス剤の投与を開始したところ、2週間後には少し改善が見られ、8週間後にはすべての症状が消失した。

『清肺湯』せいはいとう
 
73歳の男性。数年前より咳、痰が多くなり肺腺維症の診断を受けた。胸苦
しさを主訴に受診したが漢方治療を希望したので清肺湯エキス剤投与を
開始、少しずつ症状が改善し1年後の現在は2〜3泊ほどの旅行が出来る
くらい元気になっている。

『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
90歳の男性。1週間前から開口障害が発生し、次第に悪化、まったく開口不能になった。咀嚼筋の痙攣による開口障害と診断し、芍薬甘草湯エキス剤の投与を開始したところ次第に改善し、投与開始後3週間で治癒に至った。

『柴苓湯』さいれいとう
 
43歳に男性。残尿感を主訴とし泌尿器科を受診。慢性前立腺炎の診断で約6週間治療を受けたが症状の改善を認めなかった。7週間目から柴苓湯エキス剤の投与を開始したところ投与開始から12週間で症状の消失を認めた。

『苓桂朮甘湯』りょうけいじゅつかんとう
 
70歳の女性。主訴はめまいと嘔気で報告者の大学病院内科を受診。同時に
耳鼻科にも通院しながら種々の治療を受けたが2年間症状は軽快しなかった。
苓桂朮甘湯エキス剤の投与を開始したところ患者は症状が軽くなってきたと
述べた。2週間後に来院したときにはめまいと嘔気は完全に消失していた。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
抗癌免疫の役割を果たすのは主としてマクロフアージ、T細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞である。この三者それぞれを選択的に除去したマウスを用いて検討した結果、十全大補湯エキス剤による肝転移癌巣形成抑制はマクロフアージおよびT細胞を介してのものであることが判明した。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
マウスに結腸癌細胞を門脈内注入して、肝転移癌巣を作らせた。注入の1週間前より、十全大補湯エキス剤を3群のマウス(各6匹)にヒト用量、ヒト用量の倍量、ヒト用量の10倍量をそれぞれ経口投与した。その結果、肝の転移癌結節数は用量依存的に著明に抑制された。ヒト用量の10倍量の十全大補湯エキス剤を投与した群では抗癌剤(シスプラチン)に匹敵するきわめて強い抑制効果が認められた。

『麻黄附子細辛湯』まおうぶしさいしんとう
 
生後1年齢の高齢マウスに、インフルエンザウィルスを吸入感染させ、その際麻黄附子細辛湯エキス剤を投与したところ、高齢期の衰退した免疫機能が高められ、インフルエンザ感染が抑制されることが示された。

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漢方ニュース 第7号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『半夏厚朴湯』はんげこうぼくとう
 
嚥下反射の低下は誤嚥性肺炎の原因になる。老人病院に長期入院中の脳梗塞または脳出血患者で誤嚥性肺炎の既往のあるものを対象として半夏厚朴湯エキス剤の効果を検討した。
チューブを経鼻で咽頭まで挿入し、蒸留水を1cc注入して飲み込むまでの時間を測定すると健常高齢者の場合で2秒以下とされるが対象患者のそれは11秒であった。半夏厚朴湯エキス剤の投与開始後4週間で対象患者の嚥下反射は11秒から2秒に改善した。

『紫雲膏』しうんこう
 
痴呆老人病棟入院中の女性、84歳、終日臥床となり褥瘡を形成した。洗浄、消毒、軟膏処置を行ったがまったく改善がなかった。6ヵ月後から紫雲膏を使用開始した。洗浄とイソジン消毒の後紫雲膏を塗布、軟膏は中止した。
褥瘡は開始後18日には縮小を認め、7ヵ月後には治癒にいたった。

『清肺湯、黄耆建中湯』せいはいとう、おうぎけんちゅうとう
 
脳梗塞で寝たきりの患者は痰が喉に絡んでいて肺炎を起こしやすい状態にあるが、あらかじめ清肺湯エキス剤を投与しておくと痰が減って肺炎にはならない。寝たきり老人に黄耆建中湯エキス剤を投与後歩けるようになった症例を十数例経験している。(以上某病院東洋医学センターの経験例より)

『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
透析治療中に筋痙攣を発症した61例の患者に芍薬甘草湯エキス剤を投与したところ、61例中54例(89%)で2〜10分で筋痙攣および疼痛が消失した。
芍薬甘草湯は透析治療中の筋痙攣に対し即効性で非常に有用である、と報告者は述べている。 

『麻黄附子細辛湯』まおうぶっしさいしんとう
 
通年性鼻アレルギー患者74例に麻黄附子細辛湯エキス剤を持続投与して検討した結果、4週時において有効以上と判定された症例は76.7%であった。本剤の効果は投与開始2週より現れるが、より高い効果を得るためには4週以上の投薬が望ましいと報告者は述べている。

『麻黄附子細辛湯』まおうぶっしさいしんとう
 
初期の感冒患者を対象に、麻黄附子細辛湯エキス剤群83例と総合感冒薬群88例の臨床比較試験を行った。薬剤の服用期間は3日間で、他剤の併用は一切禁じた。その結果、麻黄附子細辛湯エキス剤群では著明改善49%、中等度改善33%の計82%。総合感冒薬群では著明改善31%、中等度改善27%の計60%という改善率であった。

『麻黄附子細辛湯、葛根湯』まおうぶっしさいしんとう、かっこんとう
 
50名の外来患者に、感冒初期に葛根湯エキス剤と麻黄附子細辛湯エキス剤のどちらが効くか比べてもらった。その結果、麻黄附子細辛湯がより有効であるとする人が42名、葛根湯がより良いという人が5名、いずれも無効と
答えた人が3名であった。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとう
 
51歳の女性。4年前から外耳道湿疹と診断され、耳鼻科、皮膚科で治療を受けたが良くならない。報告者の大学病院で黄連解毒湯エキス剤を持続投与したところ湿疹は徐々に改善し2週間後には消失した。

『当帰芍薬散』とうきしゃくやくさん
 
例1:22歳、未婚女性。主訴は生理痛。色白で舌下の静脈怒涛が軽度にある。
当帰芍薬散エキス剤を持続投与したところ生理痛は次第に改善していった。
症例2:53歳、症例1の実母。主訴は肩こり、頭痛、動悸、発汗。
色白で舌下の静脈怒涛をやはり軽度に認める。当帰芍薬散エキス剤を持続投与したところ3ヶ月ごろから症状の改善が認められた。

『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
慢性肝炎や肝硬変症にはしばしば腓腹筋の痙攣“こむら返り”を起こす。
アルコール性肝炎と診断された73歳の男性が、特に睡眠中に“こむら返り”を起こすようになった。芍薬甘草湯エキス剤を持続投与したところ5日目より“こむら返り”の頻度が著明に減少し2週間目消失た。

『呉茱萸湯』ごしゅうとう
 
GnRHアゴニスト療法は、子宮内膜症、子宮筋腫の薬物療法であるが、副作用としてのぼせ、発汗、頭痛、肩こりが多い。同療法開始後2〜3ヶ月ごろから頭痛を訴えた2例に対し呉茱萸湯エキス剤を投与したところ1例は投与開始2日目に、1例は1ヵ月後に頭痛は消失した。

『四逆散』しぎゃくさん
 
60歳女性。5年前から右眼瞼痙攣が疲れたときに出るようになった。
抑うつ状態で手足のひえが著明である。四逆散エキス剤を投与してしばらく続けると眼瞼痙攣も手足の冷えも解消した。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
栄養状態の極度に悪い在宅医療中の女性69歳。胃チユーブにより流動食400ミリリットルを1日3回予定したが、腹満が強く約半分しか注入できない。
そこで大建中湯エキス剤を投与したところ注入量が徐々に増加しやがて全量注入が可能になった。

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漢方ニュース 第6号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『黄連解毒湯』おうれんげどくとうおう
 
不安、不眠、うつ状態を伴う56歳の女性の三叉神経痛に黄連解毒湯エキス剤を持続投与したところ7日目で不安感の軽減とともに三叉神経痛も消失した。構成生薬である黄芩、黄連の抗炎症作用が効果を表す理由であろうと報告者は述べている。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
広範囲熱傷は生体にとり最も重大な侵襲であり、その治療は常に感染症との戦いである。今回熱傷受傷後植皮術を繰り返しつつ経過観察中にМRSA肺炎を起こし重篤な状態を呈した患者に補中益気湯エキス剤を持続投与したところ、次第に全身状態が好転し肺炎も治癒し、投与開始から1ヶ月で退院することが出来た。
この結果は補中益気湯の免疫力増強の効果を示すものといえよう。

『柴苓湯』さいれいとう
 
陰嚢内硬化性脂肪肉芽腫は比較的まれな疾患であるが、手術で切除されることが多い。陰茎根部に5センチほどの硬い腫瘤があり不快感を訴えることもある。
今回2例の本症患者に柴苓湯エキス剤を持続投与したところ4〜5週間で腫瘤が消失し、再発の兆候も認められていない。柴苓湯は基礎的検討において抗炎症作用、線維芽細胞増殖抑制作用のあることが認められている。


『抑肝散加陣皮半夏』よっかんさんかちんぴはんげ
 
強迫性障害は手洗いやガス栓、鍵の確認などを長時間繰り返す。本人はそれが無意味な事はわかっており、止めようとするが止められない。
非常に苦痛である。症例は27歳の女性で、中学生ごろからドアのノブも汚いと思い触れない。手洗いを何十分もする。風呂で体を何回も洗うなどの強迫行為で苦しんでいた。
精神科で薬をもらったが薬疹が出て中止漢方薬を希望した。抑肝散加陣皮半夏エキス剤を持続投与したところ、2週間で手洗い、入浴が半分になり、4週間で手洗いが自分で止めようと思えば止められる状態まで症状が寛解した。

『桂枝茯苓丸』けいしぶくりょうがん
 
32歳、独身女性、未経妊。2年前から外陰掻痒症があり、いくつもの産婦人科と皮膚科を受診してステロイド外用薬、抗アレルギー薬、抗生物質、抗真菌剤などの投与を受けたがまったく無効であった。若年性特発性外陰掻痒症の診断の元に桂枝茯苓丸エキス剤を投与したところ、2日目に掻痒感が消失した。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
64歳男性。高血圧症のため30年前から降圧剤(カルシウム拮抗薬)を投与されている。半年前から頭痛と耳鳴りが出現し、内科医に紹介されて報告者(精神科)を受診した。初診時不安状態、うつ状態が著明であった。
抗不安剤、抗うつ剤を投与したが1ヵ月後に精神症が幾分軽減したものの頭痛、耳鳴りは変化なかった。そこで釣藤散エキス剤を投与したところ1週間後に頭痛、耳鳴りは消失し、2週間後には精神症状も改善した。

『四逆散』しぎゃくさん
 
内視鏡的に活動期の胃潰瘍と診断された22例を対象に四逆散エキス剤を8週間投与したところ、有効以上は17例(77%)であった。

『四逆散、辛夷清肺湯』しぎゃくさん、しんいせいはいとう
 
慢性副鼻腔炎に対する両者の薬効を比較検討した結果、軽度改善以上が四逆散エキス剤で55.3%、辛夷清肺湯エキス剤出59.3%であったという。

『四逆散、桂枝茯苓丸』 しぎゃくさん、けいしぶくりょうがん
 
乳腺症にたいする薬効の比較を220例の患者で行った結果、8週間後有効率は乳房痛については68%、腫瘤については30%と、両エキス剤の間に有意差はなかった。

『清肺湯』せいはいとう
 
肺炎菌および胃液を感染させたマウスを用い、清肺湯の効果を検討した。
感染前4週間にわたる清肺湯エキス剤の連日投与により、マウスの死亡率を著しく低下させた。

『桂枝茯苓丸』けいしぶくりょうがん
 
前立腺炎癌の治療薬であるLHーRHagonist(下垂体に作用してゴナドトロピン分泌を低下させ、その結果、精巣からのテストステロン分泌を低下させる)の副作用Hotfiush(上半身、とくに首から上のほてり感を伴った発汗のこと)がある。このようにHotflushを訴える患者10例に桂枝茯苓丸エキス剤を投与したところ3ヶ月後に著効例が3例あり残り7例にも有効性が認められた。

『防己黄耆湯』ぼういおうぎとう
 
50歳男性。水太りタイプの肥満体で多汗あり。転倒して左膝関節を捻挫、疼痛と腫脹が出現、歩行が困難になった。入院し治療を受けたが退院後も膝関節の液貯留と疼痛は続いた。週1回の膝関節穿刺排液が必要であった。
そこで防己黄耆湯エキス剤を持続投与したところ1ヶ月目には関節液の貯留を認めなくなり、疼痛や歩行困難も消失した。

『柴胡加竜骨牡蠣湯』さいこかりゅうこつぼれいとう
 
精神症状(不安、不眠)、のぼせの症状がきつい更年期障害で、いくつもの病院で治療に難渋した症例に柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を持続投与し、8週間から6ヶ月で奏効を認めた。

『柴胡加竜骨牡蠣湯』さいこかりゅうこつぼれいとう
 
短気で怒りっぽい、イライラして落ち着きがない。こういう症状は向精神薬でもコントロールは難しい。イライラを主訴とする神経症患者15例に対し柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を持続投与したところ著効2例有効6例であった。
したがって有効率は53.3%であり、これは向精神薬や精神療法の臨床成績と比較しても遜色ない。


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漢方ニュース 第5号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『竹筎温胆湯』ちくじょうんたんとう
 
感冒が長引いて胸苦しく、就寝後咳、痰が出て安眠できないタイプの患者22例を対象として、竹筎温胆湯エキス剤を投与し、著効15例、有効6例であった。

『辛夷清肺湯』しんいせいはいとう
 
鼻ずまり、後鼻漏を訴える慢性副鼻腔炎85例を対象に辛夷清肺湯エキス剤を8週間持続投与した結果、70%前後の症状改善率を示した。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
免疫を抑制マウスに補中益気湯エキス剤を投与したところ致死的カンジダ感染(静注感染)後の生存期間の有意な延長がみられた。

『麦門冬湯』ばくもんどうとう
 
乾性咳嗽を伴う成人気管支喘息患者49例に対し麦門冬湯エキス剤を投与し、34例(69.4%)において有効であった。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
小児モヤモヤ病の患者で難治性の頭痛を訴える6例に釣藤散エキス剤を投与し、2例で頭痛が消失し、残り4例も頭痛の軽快をみた。

『柴朴湯』さいぼくとう
 
気管支喘息患者の気道におけるアレルギー性の炎症が進行する過程で好酸球の存在が積極的に関与する。サイトカインにより延長した好酸球の生存期間は柴朴湯エキス剤を加えることで有意に短縮した。これは柴朴湯が好酸球に直接作用することによってアレルギー反応(炎症)を抑制する可能性を示唆する。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
NK細胞はリンパ球の1種であるが、感染や癌の発症に対する自然免疫の中心と考えられており、このNK細胞活性はストレス、過労、老化などにより低下し生体防御力が弱化する。マウスの脾細胞に補中益気湯エキス剤を添加する実験において補中益気湯はNK細胞を活性化することが明らかになった。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
小細胞肺癌は近年の抗癌剤の進歩により高い奏効例も次第に増えつつあるが、一方抗癌剤無効例もあり、これは進行も早く予後きわめて不良である。
小細胞肺癌と診断されたが抗癌剤がまったく無効とわかり、以後患者の希望もあり十全大補湯エキス剤投与のみで経過を観察したところ、進行が極めて遅く、全身状態
の急速な悪化もないまま経過し、初診より5年後に死去された症例が報告された。

『抑肝散加陣皮半夏』よっかんさんかちんぴはんげ
 
7歳の男児。主訴は反復して喉を鳴らすチック症状。母親はイライラして絶えずガミガミと怒る。抑肝散加陣皮半夏エキス剤を母子に同時に投与したところ母親がやさしくなると共に患児のチックは消失した。

『半夏白求天麻湯』はんげびゃくじゅつてんまとう
 
14歳女子。主訴は立ちくらみ、動悸、息切れ、半夏白求天麻湯エキス剤投与四週間で完治した。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
15歳男子。主訴は起床時の腹痛と食欲不振、柴胡桂枝湯エキス剤で治癒した。

『桂枝加芍薬湯』けいしかしゃくやくとう
 
12歳女子。いつも便秘気味で腹痛がある。排便後便が、残っているような感じで不快である時々痛みを伴って下痢をする。診断は過敏性腸症候群(便秘症)。桂枝加芍薬湯エキス剤を投与したところ便通が順調になり、腹痛がなくなった。

『小建中湯』しょうけんちゅうとう
 
11歳女子。患児は姉のように太りたくないと思い、太ると聞いているものはご飯も食べなくなり、体重は32キロから25キロまで減少した。診断は前思春期神経性食思不振症。小建中湯エキス剤を持続投与したところ10ヵ月後には患児のやせ願望は消失し、体重が16キロ増加した。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
69歳女性。回転性めまい出現、МRIで動脈瘤を発見され手術を受けたが、その後もめまいが続き、各種薬剤を投与されたが効果は少なかった。釣藤散エキス剤の投与を開始、2週間後効果がみられ、9週間後には完全にめまいが消失した。

『抑肝散加陣皮半夏』よっかんさんかちんぴはんげ
 
メージュ症候群とは不随意な強いまばたきが次第に増加し、進行するとまぶたを開けることが出来なくなるという疾患である。抑肝散加陣皮半夏エキス剤を持続投与し、3〜4ヶ月後にはかなりの有効性(まぶたを開けている時間が長くなった)が認められたという症例が報告された。

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漢方ニュース 第4号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
34歳の摂食障害の女性が精神科に入院中褥瘡が発生し、治療したにもかかわらず次第に進行したので外科に転科入院。十全大補湯エキス剤投与を開始したところ82日目に褥瘡が治癒した。

『当帰飲子』とうきいんし
 
34例の老人性皮膚掻痒症の患者に当帰飲子エキス剤を2〜6週間持続投与した結果、約70%の有効率であった。
 

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
マウスにインフルエンザウィルスを経鼻的に感染させ、補中益気湯エキス剤を経口投与した群と蒸留水を投与した群とに分けて検討したところ、インフルエンザ感染後21日目で、補中益気湯投与群の生存率は84%、対照群の生存率は40%であった。

『人参養栄湯』にんじんようえいとう
 
現在卵巣癌化学療法は、T J療法(パクリタキセル+カルホプラチン)が主流となりつつあるが、T J療法には骨髄機能抑制という副作用がある。
T J療法を開始して、1クール目に末梢白血球の激減と高熱を呈した例に、2クール目では人参養栄湯エキス剤を併用したところ、白血球減少と高熱を見事に抑制した。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
子宮頸癌で子宮全摘術と放射線療法を受けた患者が腸閉塞を繰り返した。顔色が悪く四肢の冷感が強い。
大建中湯エキス剤と、裏寒虚証として人参湯エキス剤を合方投与したところ、4日目に腹部症状が改善し、四肢の冷感も消失した。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
子宮頸癌で子宮全摘術と放射線療法を受けた患者が腸閉塞を起こし嘔吐を頻回に起こした。顔色はよく四肢の冷感などはない。大建中湯エキス剤を投与したが無効であった。そこで柴胡桂枝湯エキス剤を投与したところ2日目には嘔吐が消失、腸閉塞が治癒した。


『真武湯』しんぶとう
 
在宅医療を施行している73歳の女性、ふらつき、両足の痺れ、食欲不振を訴える。いろいろ投薬したが漢方薬を含めすべて自分には合わないとか気持ち悪くなるとかで途中で服薬をやめてしまう。症状はますます悪化した。ふらつきを目標に真武湯エキス剤を投与したところ、今度のは飲みやすいということで服用継続し、2ヶ月でふらつきもなく食欲もでてきた。
 

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
在宅医療を施行している78歳の男性、全身倦怠感と食欲不振を訴える。補中益気湯エキス剤を投与したところ服用2ヶ月で食欲が増進し、体重が1キロふえた。

『麻子仁丸』まこじんがん
 
開腹手術を受けた後で下剤(市販下剤、アロエ、センナ、アローゼン)の常用を必要とし、腸管癒着症を伴う常習性便秘症と診断された34例について、常用下剤を中止して麻子仁丸エキス剤を2週間投与した結果、有効例が60%であった。

『五苓散』ごれいさん
 
67歳の男性で、口渇が強く頻回に水を飲み1日4リットルにもなるし、尿も近い。
低ナトリウム血症を認めた。五苓散エキス剤を投与したところ次第に口渇感が改善、飲水量は1日2リットルに減少し、低ナトリウム血症も正常化した。

『桔梗湯』ききょうとう
 
桔梗湯を合方することによる薬剤効果の即効性を示す3症例が紹介されている。
症例:1 3日前より頭痛、発熱、関節痛があり葛根湯エキス剤と桔梗湯エキス剤を投与したところ、20分後にすべての症状がほとんど消失した。
症例:2 旅行中39度の発熱、全身倦怠感などがあり、抗生物質と桔梗湯エキス剤を投与したところ、翌日には平熱に戻った。
症例:3 外国から日本に一時帰国した時クシャミ、鼻水のきついアレルギー性鼻炎を発症したが小青竜湯エキス剤と桔梗湯エキス剤を投与したところ30分で症状が消失、用事を済ませて外国に戻ることができた。

『柴朴湯』さいぼくとう
 
全身性エリテマトーデス(発熱、顔面の紅班、関節痛)に、パニック症候群(激しい不安発作、ふるえ、身動き出来ず)を合併した症例に柴朴湯エキス剤を投与し、両者に奏効を認めた。柴朴湯は不安に効果を示すが、免疫調整機能をも持つことが近年判明している。

『五積散』ごしゃくさん
 
冷え性の坐骨神経痛に対し五積散エキス剤を連続投与し、3ヶ月で完治したが、同時に6年間悩まされていた鼻閉と後鼻漏がすっかりよくなってしまい喜ばれた。

『柴胡加竜骨牡蠣湯』さいこかりゅうこつぼれいとう
 
精神症状(不安、不眠)、のぼせの症状がきつい更年期障害で、いくつもの病院で治療に難渋した症例に柴胡加竜骨牡蠣湯エキス剤を持続投与し、8週間から6ヶ月で奏効を認めた。

『葛根湯』かっこんとう
 
46歳男性。右側頬部に電撃様疼痛を生じ、三叉神経痛の診断の下に抗痙攣薬およびビタミン12などの内服を行ったが効果はなかった。葛根湯エキス剤を持続投与したところ、14日目には疼痛が完全に消失した。

『柴苓湯』さいれいとう
 
IgA腎症は最も多い腎疾患であり、放置すれば腎不全に至る。
重症例に対しては副腎皮質ホルモン剤免疫抑制剤を中心とする療法の有効性が確立しつつある。
しかしこれらの副作用を考慮するならば、その使用は最小限にとめるべきであろう。
その意味でも本症の軽症型、および重症型で治療により症状が軽快したものに対し漢方薬の使用が検討されている。その結果柴 苓湯エキス剤が本症の進展または再発を明らかに抑制する効果が現れ、臨床の場で用いられつつある。

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漢方ニュース 第3号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
マウスを用いての動物実験では、十全大補湯エキス剤を投与すると子宮内膜癌の発生が、明らかに抑制された。

『十味敗毒湯』じゅうみはいどくとう
 
アトピー性皮膚炎、各種湿疹の患者74例に十味敗毒湯エキス剤を8週間持続投与した結果有効率は50%〜63%であった。

『六君子湯』りっくんしとう
 
食欲不振、胃もたれ、胃部不快感などの上腹部愁訴を訴える296例に対し六君子湯エキス剤を2週間投与した結果、約76%の有効率を示した。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
牛車腎気丸エキス剤を投与することで糖尿病性神経障害(しびれ)48例に対し70%の改善率を示した。これはビタミンB12製剤による改善率37%を上回るものであった。また動物実験では牛車腎気丸エキス剤の投与によりインスリン感受性の低下の改善が認められる。

『当帰四逆加呉茱萸生姜湯』とうきしぎゃくかごしゅうしょうきょうとう
 
常習性頭痛を訴える女性42例に当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス剤を投与した結果、体力が弱く冷え性傾向で吐き気、および眼痛が先行して起こるタイプの頭痛には非常に効果があり、副作用もないことが認められた。

『桂枝茯苓丸』けいしぶくりょうがん
 
月経困難症に対する桂枝茯苓丸エキス剤の投与法は連続投与法が普通であるが、月経開始3日前から投与開始し、月経痛の強い期間服用するという方法で50%に十分効果が認められた。


『麦門冬湯』ばくもんどうとう
 
肺癌と診断された時点ですでに身体各部に転移を認め、手術不可能であってしかも化学療法が無効であった2例の肺癌患者にはげしい乾性咳嗽を生じたため、リン酸コデインを投与し、一時軽快をみたが次第に効果が弱くなり、さらにはリン酸コデインの副作用として強い吐き気が生じて患者を苦しめるようになった。
そこで麦門冬湯エキス剤を投与したところ、2例とも1〜3日後には乾性咳嗽が消失した。
その後患者は2例とも2〜3ヵ月後の死亡時まで咳嗽に苦しめられることはなかった。

『小青竜湯、柴胡桂枝乾姜湯』しょうせいりゅうとう、さいこけいしかんきょうとう
 
クシャミ、鼻汁、鼻閉を訴える鼻アレルギーには小青竜湯エキス剤が有効で
ある例が多い。

しかし70例の鼻アレルギー患者を対象としたある報告によると、柴胡桂枝乾
姜湯エキス剤の有効は78%で、小青竜湯エキス剤 有効性59%より有効率
が高かったという。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
十全大補湯エキス剤投与により、抗癌化学療法後の副作用である血小板減少症を生じた症例130例のうち28例に血小板減少抑制の効果を認めた。
一方十全大補湯エキス剤および補中益気湯エキス剤に動物実験により抗腫瘍効果、転移抑制効果が認められている。

『桂枝茯苓丸』けいしぶくりょうがん
 
尿道、会陰部、下腹部の不快感および頻尿などを主訴とする慢性非細菌性前立腺炎75例に対し桂枝茯苓丸エキス剤を平均8.4週間投与したところ有効12%、やや有効は66%であった。

『温清飲』うんせいいん
 
皮脂欠乏性湿疹は50歳以上に好発し、分泌物はなく痒みの強い湿疹であるが、温清飲エキス剤を43例に投与し、51%の有効率を得た。

『温清飲』うんせいいん
 
慢性色素性紫斑は点状出血、色素沈着を伴う紫斑病である。24例に温清飲エキス剤を4週間投与したところ、19例に有効であった。

『温清飲』うんせいいん
 
月経困難症23例に温清飲エキス剤を1〜9ヶ月投与した結果、著効8例、有効12例で合計の有効率は87%であった。

『白虎加人参湯』びゃっこかにんじんとう
 
突発性発疹症患者80例について白虎加人参湯エキス剤、抗生剤、解熱剤夫々の効果を検討した結果、白虎加人参湯エキス剤を使用した群がもっとも発熱期間が短く、同方の突発性発疹症に対する有効性とともに、解熱剤を多用することのデメリットが示された。

『防風通聖散』ぼうふうつうしょうさん
 
肥満患者に食事療法を含めた生活指導を行いながら防風通聖散エキス剤投与を12週間行った結果有意な体重減少をきたすとともにインスリン抵抗性も改善し、内臓脂肪も減少した。

『消風散』しょうふうさん
 
アトピー性皮膚炎、各種湿疹の患者111例に消風散エキス剤を4週間投与した結果、有効率は72%であった。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
肺腺維症による慢性呼吸不全の63歳の女性で労作時の息切れが次第に増強し、在宅酸素療法を導入したが、息切れのため日常生活に支障をきたすようになった。また何度も感冒に罹患する状態が続いた。補中益気湯エキス剤投与を持続したところ、呼吸不全が次第に軽快し、4ヶ月後には酸素療法中止が可能になりまた1度も感冒に罹患しなかった。

『芍薬甘草湯』しゃくやくかんぞうとう
 
卵巣癌の化学療法剤として最近使われるパクリタクセルでは約80%に、関節痛、筋肉痛が出現する。卵巣がん根治手術後のパクリタクセルによる化学療法施行中に著明な膝関節痛、下腿痛を訴えた患者に芍薬甘草湯エキス剤を投与したところ疼痛の軽減があり、副作用は認められなかった。


『抑肝散加陳皮半夏』よくかんさんかちんぴんはんげ
 
がん患者の抱える精神的苦痛は、計り知れないものがある。少しでも軽減してあげたいが、全身状態が変化しやすく、薬物の副作用の出やすい癌患者では、例えば向精神薬なども、服薬拒否となったり、苦痛をさらに高めることになりかねない。各種の癌の患者で、怒り、不安、イライラ、を主訴とし漢方薬服用に同意した10名に抑肝散加陳皮半夏エキス剤を2週間から5週間投与したところ著効2名、有効5名、無効3名、したがって有効率70%であり、特に副作用は認めなかった。

『柴胡桂枝乾姜湯』さいこけいしかんきょうとう
 
骨量減少症や骨粗鬆症と診断された閉経後の94例に柴胡桂枝乾姜湯エキス剤を投与した。
その結果有効が54例(57.4%)、無効が40例(42.6%)であった。
構成生薬である牡蠣(カルシュウムを多く含む)、甘草(エストロゲン作用を持つ)、黄芩、乾姜(いずれも腸管からのカルシュウム吸収を促進する)などによるものと考えられた。

『小柴胡湯』しょうさいことう
 
肝硬変患者260例を対象とし、小柴胡湯エキス剤投与群と非投与群に分けて60ヶ月間経過観察したところ、小柴胡湯エキス剤投与群において、肝癌発生率が低く生存率は高い傾向を認めた。

『葛根湯加川芎辛夷』かっこんとうかせんきゅうしんい        
 
慢性副鼻腔炎患者に葛根湯加川芎辛夷エキス剤を12ヶ月投与したところ鼻閉、鼻漏、嗅覚障害のすべてにおいて改善を見た。


『補中益気湯』ほちゅうえっきとう 
 
長期臥床、褥創発生例2例に対し補中益気湯エキス剤を投与し、それぞれ1ヶ月と3ヶ月で褥創の改善を認めた。

『小柴胡湯』しょうさいことう 
 
肝硬変、肺がんへと進展する肝腺維化を実験的に起こしたラットに小柴胡湯エキス剤を投与した結果、肝腺維化が明らかに抑制された。

『香蘇散』こうそさん
 
腹部膨満感、腹鳴,頻回の排ガスを主訴とする過敏性腸症候群ガス型16例に対し香蘇散エキス剤を投与した結果、16例中13例(80%)に対して有効であった。

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漢方ニュース 第2号
『漢方医学』および『伝統医学』より抜粋し要約してご紹介する。
文中の漢方エキス剤(医療用)−以下エキス剤―は当院で日常使用しているものと同じものである。

『当帰芍薬散』とうきしゃくやくさん
 
初潮発来前のメス幼若ラットに当帰芍薬散エキス剤を投与すると、視床下部や下垂体前葉部のホルモンの分泌が促進され、卵巣機能の成長促進が見られた。また閉経期のメスラットに当帰芍薬散エキス剤を3ヶ月間投与した結果、卵巣機能の回復が見られた。
同時に脳内神経伝達物質が増加した。

『当帰芍薬散』とうきしゃくやくさん
 
脳機能の低下した、老齢のマウスに当帰芍薬散エキス剤を投与したところ短期記憶および長期記憶が改善された。

『当帰芍薬散』とうきしゃくやくさん
 
ストレスを負荷した動物から生まれた仔は凶暴性を帯びたり、不安が強い傾向がにあるが、母動物に当帰芍薬散エキス剤を投与すると仔の凶暴性や不安が抑制されることがわかった。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
ラットを用いた実験によれば,柴胡桂枝湯エキス剤を投与することによってエンドトキシン(グラム陰性桿菌に由来する細菌、毒)による、肝障害の進行が予防され、またエタノール(アルコール)による肝微小循環障害の進展が抑制される。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
ラットを用いた実験によると柴胡桂枝湯エキス剤を投与することによって、肝細胞の再生が促進され、胆汁分泌も促進され、さらには抗肝炎作用が認められた。

『柴苓湯』さいれいとう
 
習慣性流産のうち、胎児の免疫的拒絶反応に原因するものは不育症と呼ばれる。
不育症の一部に柴苓湯エキス剤の投与が極めて有効である症例である。

『牛車腎気丸』ごしゃじんきがん
 
耳鳴りを主訴として受診した42例(58耳)に牛車腎気丸エキス剤を4週間以上投与した結果、9耳で耳鳴りが、完全消失、著効14耳、有効13耳、やや有効16耳と優れた効果が見られた。
有効例は性別では男性に、年齢別では高齢者に、羅病期間では短に症例に多かった。

『麦門冬湯』ばくもんどうとう
 
咳喘息(COUGH VARIANT ASTHMA:CVA)のタイプ、つまり咳込みが目立ち、喘鳴はそれほどではないが痰が絡みやすいタイプの喘息に麦門冬湯エキス剤が有効、特に夜に強くなる空咳タイプにはよく効く。

『柴胡桂枝湯』さいこけいしとう
 
ラットの自然発生慢性膵炎モデルを用いて、柴胡桂枝湯エキス剤を4週間から24週間投与した結果、

(1)膵炎による血清アミラーゼ値の上昇が抑制された。
(2)組織学的にも柴胡桂枝湯投与群では膵の炎症像は認められなかった。

慢性膵炎に対する柴胡桂枝湯の作用は、各構成生薬の抗炎症作用、胃酸分泌抑制作用、血管拡張作用、微小循環改善作用などが複合され発現すると考えられている。

『加味帰脾湯』かみきひとう
 
子宮体癌1例、卵巣がん2例の抗がん剤(シスプラチン100mg他)投与例で加味帰脾湯エキス剤を併用したところ通常みられる骨髄抑制(白血球および血小板減少)が軽度で回復も早く、副作用も認められなかった。

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漢方ニュース 第1号
今日、漢方について 数多くの症例報告および臨床研究が発表されている。
これらはわれわれ漢方薬を扱う医師にとって、きわめて興味深く、且つ有益である。一方これらの研究についての情報は 漢方薬に関心をお持ちの(医師以外の)一般のかたがたにとっても非常に興味深いであろうと考えるし、これらの情報をお伝えすることで漢方薬についての知識と、信頼性が一段と高まる事を大いに期待する。
今後私共は(株)ツムラのご了承を得て『漢方医学』および『伝統医学』に発表されている研究および症例報告のうち興味深く思われたものを選び要約して紹介していこうと思う。なお文中に登場する漢方エキス製剤はすべて当院で日常に使用している製剤ばかりである。

『柴朴湯』さいぼくとう
 
抑うつ的傾向のある患者で、咽喉頭部の異常感を訴えるものに柴朴湯エキス剤を投与した結果65%に有効であった。副作用は認められなかった。
効果発現の2週間以上を要し、遅効的ではあったが65%の有効率は抗うつ薬のそれに匹敵するものであった。

『呉茱萸湯』ごしゅうとう
 
147例の慢性頭痛の患者さんに呉茱萸湯エキス剤を投与したところ89%に頭痛の軽減を認めた。
しかも眠気、だるさなどの副作用はみられなかった。

『補中益気湯』ほちゅうえっきとう
 
約100例 M.R.S.A.(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)保菌入院患者の半数に補中益気湯エキス剤を投与したところM・R・S・A 陰性化率は対照群の2倍に達し、補中益気湯による抵抗力増強が認められた。

『温経湯』うんけいとう、『八味地黄丸』はちみじおうがん、『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
卵巣切除された、ラットの20%において骨粗鬆症が発症したが予防的に温経湯エキス剤または八味地黄丸エキス剤または十全大補湯エキス剤を投与した群では骨粗鬆症の発症はゼロであった。

『十全大補湯』じゅうぜんだいほとう
 
2例のM.R.S.A.が保菌入院患者に十全大補湯エキス剤を連続投与したところそれぞれ25日目と31日目にM.R.S.A.陰性化した。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
20例の慢性頭痛の患者に釣藤散エキス剤を持続投与したところ、4週間後には60%(12例)が8週間後には70%(14例)が頭痛が軽快または消失した。

『釣藤散』ちょうとうさん
 
139例の 認知障害(脳血管性痴呆)患者に、12週間にわたり釣藤散エキス剤を持続投与したところ、自発会話、表情、計算力、夜間せん妄などについて改善が見られた。

『小柴胡湯』しょうさいことう
 
肝硬変を誘発する食餌で16週間飼育したラットに肝硬変、肝癌が発生したが、同じ食餌に小柴胡湯エキス剤を加えて16週間飼育したラットには肝癌、肝硬変のいずれの発生もなかった。

『柴胡桂枝乾姜湯』さいこけいしかんきょうとう
 
“布団から起き上がると冷や汗が出て同時に動悸、めまいが起こり息苦しく強い不安に襲われる”という発作を1日数回も起こす患者がいた。
各種検査では異常を認めない。精神安定剤を投与すると眠気とだるさがきつくて服用が継続できない。
この患者に柴胡桂乾姜湯エキス剤を持続投与したところ2週間後には発作が消失した。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
腹痛や腹部膨満を訴える術後癒着性イレウス患者52名に対し、大中建湯エキス剤を投与したところ42名(80%)に症状の改善又は、消失をみた。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
小児の慢性便秘の治療の目的は排便習慣の確立にある。そのためきつい下剤の使用は好ましくなく、安全で腹痛や悪心がなく、自然の排便を促す薬剤が望ましい生後6ヶ月から7歳の慢性便秘の小児90名に大建中湯エキス剤を2週間持続投与したところ生理的に近い排便が見られ有用度80%と判定された。

『大建中湯』だいけんちゅうとう
 
拒食症の女性患者6名を対象に大建中湯エキス剤を投与したところ腹部膨満感や便秘の改善が見られ、四肢の冷感の改善がみられ食事量の増加も見られた。

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